研究課題/領域番号 |
26400079
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
村上 斉 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (70192771)
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研究分担者 |
樋上 和弘 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (60262151)
藤 博之 香川大学, 教育学部, 准教授 (50391719)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 色付きJones多項式 / Reidemeister torsion / Chern-Simons 不変量 / 体積予想 / 基本群の表現 / トーラス結び目 |
研究実績の概要 |
R. Kashaev,村上順,および研究代表者が提唱した体積予想は,結び目のN次元色付きJones多項式の変数qに1のN乗根を代入した量の,Nを大きくした時の漸近挙動に,その結び目の補空間の単体的体積が現れるであろうというものである.S. Gukovや研究代表者は,1のN乗根exp(2πi/N)の代わりにexp((2πi+u)/N)を代入してた量の漸近挙動には,(uによって定まる)結び目補空間の基本群からSL(2;C)への表現のChern-Simons不変量とReidemeister torsionが現れるであろうと予想した.表現がholonomy表現と呼ばれるものであればChern-Simons不変量の虚部は双曲体積と一致することから,これは体積予想の一般化と考えられる. 研究代表者はこれまで,8の字結び目のときに,uの範囲を制限すれば上記の拡張された予想が成り立つことを示した. 今年度は,昨年度に引き続き,反復トーラス結び目を調べ上述の予想を証明した.特に,今年度は反復トーラス結び目のReidemeister torsionを厳密に計算した.その結果,反復トーラス結び目の場合には,単純結び目の場合と違ってReidemeister torsionを定義するときにホモロジー群の基底の取り方に注意をしなければならいことが分かった.おそらく同じことが他の非単純結び目の場合にも成り立つと考えられる.これは,体積予想やその一般化だけでなくReidemeister torsionに関しても興味深い考察であると思われる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単純でない結び目について,体積予想の拡張として,色付きJones多項式の極限に基本群のSL(2;C)表現に対応したChern-Simons不変量とReidemeister torsionが現れるであろうと予想されている.本研究では反復トーラス結び目の場合にその予想が正しいことを示した.さらに,このような結び目の場合にReidemeister torsionを厳密に計算に,単純でない結び目の場合にReidemeister torsionを定義するうえでの困難さを明確にした.この事実は他の結び目のReidemeister torsionの研究に役立つと思われる.
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今後の研究の推進方策 |
拡張された体積予想を反復トーラス結び目の反復をさらに繰り返した場合や,一般の衛星結び目場合に拡張したい.また,これらの結び目のReidemeister torsionを計算するつもりである.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究集会が開かれなくなったため,旅費の利用が予定していたより少なくなった.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の結果と合わせて別の研究集会で発表をする.
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