研究課題/領域番号 |
26400085
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
浅岡 正幸 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10314832)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 群作用の剛性 / 野生的力学系 |
研究実績の概要 |
本年度は昨年度の研究で得た半群作用の野性的な振舞いに関する成果を部分双曲力学系への応用を試みた.これまでに知られている微分同相写像の野性的な振舞いはすべてホモクリニック接触からの分岐として得られるか,C1位相という弱い位相の下でのものであり,高い微分可能性を持つ部分双曲系,特に中立方向が1次元の部分双曲系においてgenericに野性的な振舞いが観察されるような領域があるかどうかは不明であった.本年度は,任意のrに対して,3次元以上のCr級部分双曲的力学系で中立方向が1次元であるようなもので,いくつかの検証可能な自然な条件をみたすものたちのなかでgenericなものについて,その周期点の個数が非常に速く増大することについて,1次元半群作用に関する成果を応用することでほぼ証明することができた.また,周期点の個数の増大度に関する考察を進めている間に,周期点の増大度が非常に速くなる別のメカニズムも発見し,2次元実解析的面積保存写像である自然な条件をみたすものたちのなかで,非常に速い周期点の増大度をもつものがgenericにあること,さらにより強くKolmogorov-Arnoldの意味でprevalentであることを証明することもできた. 昨年度に引き続き,SO(n,1)に関わる群作用の剛性についても研究を行い,関連する結果の精査をするとともにいくつかの新しいアイデアを適用することも試みたが,問題の解決には及ばず,最終年度に残された課題となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SO(n,1)に関する研究は問題の解決には届かなかったものの,作用に対する理解は深まっている.また,前年度に得られた半群作用に関する成果の力学系理論への応用を行うこともできた.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に向けてSO(n,1)に関わる作用の剛性問題や余次元1アノソフ流の分類問題の幾何構造の観点からの解決を目指すとともに,本年度同様にこれまでに得られた成果の力学系理論などへの応用も目指したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に参加予定であった学会が他の仕事と時期が重なり出席できなくなったために,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に本研究に関わる研究集会に招待講演者として招かれる事になったので,その旅費などに使用する予定である.
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