研究実績の概要 |
研究代表者・藤井道彦は、有限表示可能な離散群 G に対して、幾何的あるいは代数的に最も自然な有限生成系 Γ を一つ選び、群 G の有限生成系 Γ に関するケーリー・グラフ X を考えて、 X 内の測地線を考察し、群 G の測地的ワードアクセプターを構築し、 群 G の有限生成系 Γ に関する球面的増大級数 SZ 及び測地的増大級数 GZ の計算を行った。具体的には、2以上の2つの自然数 p と q を与えると定まる、2つの無限巡回群の融合積となる群 G(p,q) について、ある有限生成系 Γ を選んで、群 G(p,q) の有限生成系 Γ に関する測地的増大級数 GZ の計算を行った。この群 G(p,q) は、特別な場合(すなわち、p と q が互いに素な場合)には、3次元球面内の (p,q) 型のトーラス結び目の補空間 M(p,q) の基本群として、幾何学的に実現されるものである。この3次元多様体 M(p,q) は角度 2π/p および 2π/q の特異点を持つ2次元円板 D(p,q) 上のザイフェルト束の構造を持つ。ここで選んだ有限生成系 Γ は、この幾何構造の観点から最も自然な有限生成系である。平成27年度の研究では、特に p=2 かつ q=5 の場合に次のことを示した。 (1)群 G(2,5) の測地的代表元をすべて決定した。 (2)群 G(2,5) の測地的代表元を受理するワードアクセプターを構成した。 (3)群 G(2,5) の測地的増大級数 GZ の有理関数表示を求めた。
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