研究課題/領域番号 |
26400089
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
服部 泰直 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (20144553)
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研究分担者 |
渡邉 忠之 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 講師 (70467447)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 位相幾何学 / 距離空間 / 次元論 / 計算モデル |
研究実績の概要 |
研究代表者の服部は、2014年7月にギリシャで開催されたトポロジーに関する国際会議に出席し、同じ会議に出席していた海外研究協力者の V. Chatyrko氏とJ. van Mill氏や会議参加者(参加者は250名以上)と研究打ち合わせを行うとともに、情報収集を行った。また、その会議において、服部は Chatyrko氏との共同研究で得た位相空間の相補性および可逆性に関する下記内容について発表を行った(招待講演):2つの位相空間 X, Y が互いに連続な単射の像となるとき、X と Y は相補的(bijectively related)という。また、位相空間 X に対して X から X への連続な全単射が同相写像しか存在しないとき、Xを可逆的(reversible)という。相補性と同相性、および可逆的な空間について次の成果を得た。(1) n次元デジタル空間(Khalymski空間)は可逆的である。(2) Sorgenfry 直線の任意個の直積は可逆的でない。(3)位相空間におけるいくつかの基本的な演算によって可逆性は保存されない。(4)相補性に関する同値条件を求め、それを用いた相補性と同相性の差異を示す空間の構成。 服部は、河北科技大学(中国)のWei Yao教授からの招待により2015年1月に河北科技大学を訪問し、同時期に訪問していたS.E.Han教授(全北大学、韓国)や Yao教授等とドメイン理論およびFuzzy位相について研究連絡を行った。また、同学で開催された「2015 CJK Seminar on Pure and Applied Topology 」に出席し、ドメイン理論における形式的球体のMartin位相から派生したSorgenfrey型位相に関する講演(招待)を行った。研究分担者の渡邉は、モース理論に関する研究を進め、3件の招待講演を含む4件の研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の服部は、研究開始の早い時期(2014年7月)にギリシャにおいて開催された国際会議に出席し、主要な海外研究協力者である Vitalij Chatyrko (Linkpoping University, Sweden) および Jan van Mill (University of Amsterdam, The Netherland) 等と本研究の進め方について打ち合わせを行い、研究を順調に始めることができた。また、服部は、河北科技大学からの招待により、同時期に招待されていた海外研究協力者のSang-Eon Han氏等と直接会って研究連絡ができるなど、海外の研究協力者とは良好な環境のもとで研究が進められた。学術雑誌等に出版された研究論文はなかったものの、海外での国際会議における2件の招待講演を含む7件(服部(研究代表者)3件、渡邉(研究分担者)4件)の研究成果の発表がなされるなど、本研究は概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、当初の通り距離空間や位相空間における漸近次元および次元論、また、ドメイン理論の位相空間論への応用等について研究を進める。次元論および漸近次元については、代表者の服部が Chatyrko や van Mill と共同で研究を進める。8月に横浜市で開催予定の国際会議には、Chatyrko、van Millの両氏が招待されており、また、11月にMinnan Normal University (福建省、中国)で開催される国際会議にはvan Mill氏が招待されている。服部はこれらの会議に出席し、その機会を有効に活用しChatyrko, van Mill両氏と研究連絡を行うなどして研究を進める。尚、Chatyrko氏が国際会議に出席するために来日する機会を利用して、会議前の2週間、島根大学に彼を招へいして服部、松橋(国内研究協力者)と次元論および位相空間論に関する共同研究を進める。また、次元論や位相空間論に関する研究を進めるために、Michael Charalambous氏(エーゲ大学、ギリシャ)を10月に一か月間招へいし、共同研究を行う。ドメイン理論については、海外研究協力者のS.E.Han氏も11月にMinnan Normal University(福建省、中国)で開催される国際会議に出席予定(組織委員)であり、Han氏および Yao氏(河北科技大学、中国)と研究連絡をするなどして、研究を進める予定である。 研究代表者の服部は本年4月から学長職に就き、研究のための時間が確保できるかが懸念される。そこで、研究時間の確保のため、国内の研究集会や国際会議等に出席した機会を有効的に活用しながら、研究協力者との研究連絡を密にして研究を進めていく。場合によっては、研究計画の変更も検討が必要になるかもしれないが、それについては今年度の進捗状況を見ながら判断することを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度は服部が学部長職(総合理工学研究科長、総合理工学部長)にあり多忙だったため、国内における研究集会や研究協力者への訪問等について出張の日程の調整がつかず、国内打ち合わせ旅費が計画通り執行できなかった。また、出張先の研究打ち合わせの際に使用するためのノート型パソコンを購入予定であったが、上記のように国内打ち合わせの出張をすることが難しいとの判断から購入を見合わせた。外国図書については、研究に直結する外国図書の出版が26年度はなかったため、購入しなかった。以上の理由により、当初の計画からの残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度は、次元論、ドメイン理論や位相空間論に関する研究を進めるために、次元論において世界一線で活躍しているMichael Charalambous氏(エーゲ大学、ギリシャ)を海外から招へいし、また、海外研究協力者のVitalij Chatyrko氏(スウェーデン)を、8月に横浜で開催される国際会議出席のため来日する機会を利用して島根大学に2週間招へいする予定であり、そのための旅費として使用する予定である。さらに、研究発表、研究打ち合わせのために研究代表者の服部は、8月に横浜で開催される予定の国際会議に出席する予定であり、その旅費としても使用する予定である。また、国内における研究協力者との打ち合わせ旅費や、昨年度、購入できなかったノート型パソコンや外国専門図書の購入に使用する予定である。
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