研究課題/領域番号 |
26400089
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
服部 泰直 島根大学, 学内共同利用施設等, 学長 (20144553)
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研究分担者 |
渡邉 忠之 島根大学, 総合理工学研究科, 講師 (70467447)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 位相空間 / continuous bijection / reversible space / Alexandroff space |
研究実績の概要 |
研究代表者の服部は、中国の河北科技大学において6月3日~5日に開催されたドメイン理論に関する国際会議において招待講演(演題:Topological aspects of continuous posets of formal balls)を行うと共に、国際会議を主催したWei Yao教授、海外研究協力者であるSang Eon Han教授(全北大学校、韓国)、そして国際会議に出席していたドメイン理論の世界的研究者たちとドメイン理論の現在の研究状況について情報交換を行った。また、服部は韓国の釜山で11月12日~16日に 開催された国際会議「2nd Pan-Pacific International Conference on Topology and its Applications」にScientific Committee及びSession Organizerの一員として出席し、会議の運営にあたった他、研究成果を報告した(演題:Product theorems on dimensions)。さらに、服部は、海外研究協力者のHan教授と上記2件の国際会議において直接に会い、ドメイン理論のトポロジーへの応用に関する研究打ち合わせを行った。 上記のような研究活動を行い、その成果としてChatyrko准教授とHan教授との共同研究により、継承的reversible空間に関する知見を得た。位相空間はそれ自身への連続な単射が同相写像しか存在しない時に、reversible 空間といわれる。そして、全ての部分空間がreversibleである位相空間を継承的reversible空間という。本研究では、第一可算公理を満たすHausdorff空間、デジタル空間と関係の深い局所的有限な空間のある部分クラスに対する継承的 reversibility に関する特性化定理を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の服部は、中国の河北科技大学において開催されたドメイン理論に関する国際会議の招待講演者として参加し、また、韓国の釜山で開催されたトポロジーに関する国際会議ではScientific Committee及びSession Organizerとして参加した。海外研究協力者のSang-Eon Han教授(全北大学校、韓国)も両方の会議に出席しており、これらの会議を活用して研究連絡を行った。そして、海外研究協力者のVitalij Chatyrko 准教授 (Linkoping University, Sweden)とは主にメール等を利用して共同研究を進めた。その成果として、Sang-Eon Han教授とVitalij Chatyrko 准教授との国際共同論文1編を国際専門誌に発表するなど、国際水準の研究が進められた。
以上のように、平成29年度には、服部は国際共同論文1編を学術雑誌に発表した他、海外での2件の国際会議に出席し、1件の招待講演、1件の研究発表を行った。また、研究分担者の渡邉は国内研究集会において2件の研究発表を行うなど、研究はおおむね順調に進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の服部は、次年度も引き続き学長職にあるため本研究に従事する時間的制約がある。そこで、海外研究協力者のVitalij Chatyrko 准教授 (Linkoping University, Sweden)とSang-Eon Han教授(全北大学校、韓国)等との共同研究を有効的に活用しながら研究を進める。具体的には、Chatyrko 准教授が本年6月に来日する予定であるので、その機会に島根大学に招聘し共同研究を推進する。また、服部は7月にギリシャにおいて開催されるトポロジーに関する国際会議「International Conference on Topology and its Applications」に出席する予定であるが、Chatyrko 准教授とHan教授も同会議に出席する予定である。そこで、会議期間中に直接話すことができる時間を活用して研究連絡を行いたい。さらに、中国の南京大学のWei-Xue Shi教授の招きにより5月に南京大学数学教室を訪問し、ドメイン理論のトポロジーの応用に関する講演を行う予定である。その機会に、南京大学のWei-Xue Shi教授、Yin-Zhu Gao教授等と計算可能性理論、ドメイン理論のトポロジーへの応用について情報交換を行い、新たな研究分野の創出についてその可能性を探りたい。 さらに、上記のギリシャにおける国際会議において、服部が研究成果の発表を行うと共に、この会議に参加する250名近くのトポロジー研究者、特に、Jan van Mill教授 (University of Amsterdam)等,世界の一線の研究者と位相空間における次元、距離空間における漸近次元や計算可能性理論等幅広く最近の国際的な研究状況について情報収集を行い、次のステップにつながる研究の方向性を確認しながら研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究代表者の服部が本経費採択後の平成27年4月から学長職に就き、平成29年度においても大学運営のための業務により多忙となり、出席予定であった国内の学会・研究集会に出席できず、そのための経費に残額が生じた。さらに、当初に旅費を計上していた6月に中国の河北科技大学において開催された国際会議、また、11月に韓国の釜山で開催された国際会議については、国際線航空券、相手側国内交通費及び滞在費が主催者側が負担することになり、本経費では国内旅費(松江-東京)(松江-福岡)のみの支出となったことにより残額が生じた。また、ノート型パソコン及び図書費も計上していたが購入の緊急性が薄れたため、購入を控えた。以上の理由により次年度使用額が生じた。 (使用計画) 次年度には、トポロジーに関する国際会議1件(ギリシャ)、中国の南京大学の招聘による講演及びドメインのトポロジーへの応用に関する研究連絡及び情報収集の2件の海外出張に旅費を使用する予定である。また、主要な海外研究協力者であるVitalij Chatyrko准教授(Linkoping University, Sweden)の招聘を予定しており、本経費から旅費を支出する予定である。また、研究用図書やノート型パソコンの購入を予定している。
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