研究実績の概要 |
D. Scottは高水準プログラミング言語によって記述されたプログラムの意味付けに、代数的束、連続束が応用できることを指摘し、計算機科学に数学的基盤を与えた。これにより、連続束やドメイン(有向的完備性を持つ連続半順序集合)は、計算機科学と数学(代数学、トポロジー、解析学等)の両分野においてその重要性が再認識され、活発に研究が進められた。本研究課題では、ディジタル空間のモデル空間であるn次元Khalimsky空間K^nにおける位相次元や位相的諸性質、距離空間上の形式的球体から成るドメインにおける位相的側面の研究から派生した種々の位相に関する知見を得た。 最終年度には、服部は6月14日~17日に揚州大学(中国)において開催されたドメイン理論の国際会議にプログラム委員として参加し招待講演を行った。さらに、J. Lawson (ルイジアナ州立大学), A. Jung (バーミンガム大学), J. Goubault-Larrecq (パリ大学)等の会議参加者と計算可能性理論、ドメイン理論とトポロジーに関する研究動向について意見交換・情報収集を行った。また、服部は 11月21日~27日にリンショーピン大学を訪問し、V. Chatyrkoと次元論、H-空間の位相的性質及び距離空間上の形式的球体のドメイン構造とその応用について研究連絡を行った。さらに、A. Jungを1月9日~14日の間、島根大学に招聘し、連携研究者の立木(京都大学)等と本研究課題の総括及び今後の研究の方向性を検討した。分担研究者の渡邉は、マックスプランク研究所において9月18日に開催された国際研究集会で招待講演を行った他、低次元多様体におけるホモトピー群に関する研究成果について、3件の国際会議の招待講演、5大学 (スタンフォード大学, オレゴン大学, 京都大学,グルノーブル大学, ナント科学大学)において講演した。
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