研究実績の概要 |
G を有限群,F を(ある条件を満たす)閉多様体とする.「ある条件」としては,例えば「F はディスク上の滑らかなG-作用の不動点集合となるもの」などがある.本研究課題は,複素射影空間の列,実射影空間の列,レンズ空間の列のような特定の空間の列 X_1, X_2, X_3, ・・・, X_n, ・・・ に対し, n > N ならば X_n は F を不動点集合とする滑らかなG-作用を持つ,という条件を満たす自然数 N が存在するか否かを研究している.G が十分多くの部分群を持つ単純群であれば,k(n)-次元球面 S の列の上のG-作用を Oliver 理論を用いて構成し,それを利用し F を不動点集合とする X_n 上のG-作用を構成し,課題を解決できる.このため部分群があまり多くない(非可換)単純群 G の場合に,例えば G が 5 次や 6 次の交代群 A_5, A_6 の場合に,この問題の研究が重要である.これまでの研究では,初めに,G = A_5,(X_n) が単連結空間の列の場合に同変手術理論とs-同境理論を用いて問題解決ができた.次に,G = A_5,(X_n) が単連結ではない空間の列の場合に,s-ホモトピー同値の Wall 群 L(Γ(G, X_n)) から逆極限 Inv-Lim L(Γ(H, X_n)) への自然な写像の余核を利用し,同変手術理論とs-同境理論を用いて問題解決ができた.ここで H は G の真の部分群全体を渡り,Γ(H, X_n) は位相空間 EH x_H X の基本群である.この研究と関連し Burnside 環 A(G) から逆極限 Inv-Lim A(H),H は G の真の部分群を渡る,への自然な写像の余核が自明な群となる必要十分条件は G が位数が異なる素数の冪である巡回群であることを証明した.
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