研究課題/領域番号 |
26400094
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
入江 幸右衛門 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40151691)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | polyhedral product / Golodness / Cohen-Macaulay complex / high neighborly complex |
研究実績の概要 |
本研究は多面体積のホモトピー型を決定することを目標としている。26年度当初、一般に多面体積が懸垂空間のとなるためには、実モーメントアングル複体の胞分解が自明であることが必要であることが証明できていた。その後1年間の研究でこの条件が十分条件でもあることが証明でき、理論を非常にすっきりした形に整理することが出来た。また、Golod 性を強めた形でホモトピーGolod 性の概念が定義できるが、一般に多面体積が懸垂空間になるとき、その単体複体はホモトピーGolod 性を持つことが証明できた。これによって、一般に多面体積が懸垂空間になるための条件と Golod 性が直接的に結びついていることが証明でき、この方面のホモトピー論的な側面は大体解決することが出来た。 他方、組み合わせ論的な観点からは、未解決な問題が多く残されている状態である。26年度当初は、幾つかの一般的に多面体積が懸垂空間となるような単体複体が幾つか見つかっていたが、順序的 Cohen-Macaulay 複体以外は散発的な例しかなく1つのまとまりのあるクラスをなしていなかった。これについても、この1年間の研究で高い隣接性をもつ単体複体のクラスは一般的に多面体積が懸垂空間となることが証明でき、散発的に見られた単体複体が1つのまとまりのあるクラスを作ることが証明できた。 以上のようにこの1年間に大きく研究が進展し、当初の予定と比較すると、2年間を予定していた研究が1年間で達成できることが出来、大きな研究の進歩があったと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要でも記したとおり、当初2年間かかるであろうと思われていた研究が1年間で達成できた。さらに次のような結果を得ることが出来た。単体複体 K について、次の条件を考える。 (1) 一般的に K に対する多面体積が懸垂空間になる。(2) K に対する実モーメントアングル複体の胞分解が自明である。(3) K とその全部分複体に対する実モーメントアングル複体が懸垂空間になる。(4) K はホモトピー Golod 性を持つ。(5) K は Golod 性を持つ。このとき、(1)<=>(2)<=>(3)=>(4)=>(5) が成り立つことが証明できた。この結果は当初想像していたより非常にきれいな定理であり、この研究の大きな成果である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの到達度を評価する理由の項に書いたように、単体複体 K に5種類の条件を考えたとき、(3)=>(4)=>(5) が成り立つことが分かった。そして、その逆が成り立つことはないと想像できる。しかしながら、いまだにそれを示す反例が見つかっていない。今後の研究課題は、実際にそのような反例を見つけることにある。そのために、まず強い gcd 条件を満たす複体がホモトピー Golod 性を持つのか、さらに、条件 (1),(2),(3) を満たすのかを調べる必要がある。27年度はこの問題を解決することを目標に研究を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
中国の大連で開催された国際会議の参加費用と考えていたが、その国際会議の参加費用が日本学術振興会の二国間交流事業から支出できるようになったのでそちらから支出したため。
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次年度使用額の使用計画 |
日本で開催されるホモトピー論シンポジウムなどに、海外、特に中国や韓国の多面体積の研究者を招聘し共同研究を実施したい。
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