研究課題/領域番号 |
26400094
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
入江 幸右衛門 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40151691)
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研究分担者 |
岸本 大祐 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60402765)
蓮井 翔 筑波大学, 数理物質系, 助教 (50792454)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 殻化可能複体 / 多面体積 / ホワイトヘッド積 |
研究実績の概要 |
双対殻化可能複体(dual shellable complex)に対するモーメントアングル複体は、球面の1点和にホモトピー同値になることが我々の研究で明らかになっているが、そのホモトピー同値写像が高次ホワイトヘッド積によって与えられることを証明することができた。これは、我々自身のシフティッド複体に対する研究結果の拡張でもあり、Grbic-Theriault の MF-複体に関する研究結果の拡張ともなっている。この結果は、ロシアの研究グループに興味を持たれ、モーメントアングル複体が球面の1点和にホモトピー同値で、その同値写像が高次ホワイトヘッド積によって与えられる単体複体のクラスの研究を喚起した。彼らは、この2つのクラスに違いがあることを証明し、今後のこの分野の研究が待たれているところである。
また、研究分担者はイギリスの研究者との共同研究において、次のような成果を得た。まず、多面体積は単体複体に対して定義された空間であるが、これを任意の基点つき順序集合に拡張した。次にその空間のコホモロジー群が多面体積の場合と同様に、個々の構成空間のコホモロジー群の逆極限として得られることを証明した。この結果をさらに拡張し、多面体積に対して成り立つ多くの事柄をこの拡張された多面体積について成り立つことを証明した。この結果は、多面体積をより広い観点から考察する手段を与えるもので、今度の発展が期待されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた通りに研究が進んでいるわけではないが、これまでに多くの成果を得る事ができた。当初の研究計画では、2017年度までに「Golod 複体は強い Golod 性をもつか?」という問題の解決を与えることであったが、これは研究代表者と学生との共同研究で否定的に解決することが出来た。研究を始めた当初は肯定的に解決されることを予定して研究計画を立てたため、2018年度の研究計画が非常に難しい研究を行うことになってしまい、結局、2018年度は計画通りには研究を進められなかった。しかし、上記に記したとおり、それ以外の多面体積に関する多くの結果を得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
我々の研究結果を受けてロシアの研究者達が始めた単体複体の2つのクラスの差についての研究を推し進める。我々は双対殻化可能複体より広いクラスの単体複体に対して、モーメントアングル複体が球面の1点和とホモトピー同値になることを証明している。これらに対して、そのホモトピー同値写像が高次ホワイトヘッド積によって与えられるかどうかは非常に興味あることである。今年度は、この問題を手がかりに研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間中の2年間理学系研究科長の任にあり、研究成果の発表に十分な時間が取れなかったため。
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