研究実績の概要 |
前年度までの研究では、単体複体 K の Golod 性を中心に研究を進めてきた。この研究課題に対しては一応の成果を得ることができたので、本年度は多面体積 Z_K(X,A) が有限な一般化されたポストニコフ分解を持つための必要十分条件を求める研究を行った。 まず、有限な一般化されたポストニコフ分解とは何かを定義する。一般化された Eilenberg-MacLane 空間とは、Eilenberg-MacLane 空間の必ずしも有限でない直積空間の事である。この用語を用いると、有限な一般化されたポストニコフ分解とは、ポストニコフ分解の定義における Eilenberg-MacLane 空間を一般化された Eilenberg-MacLane 空間に置き換えたものである。 研究の結果次の定理を得た。P を連結な位相空間のなすクラスで、その普遍被覆が有限な一般化されたポストニコフ分解を持ち、ホモトピーレトラクションによって閉じている最小のクラスとする。単体複体 K とCW複体の対 (X,A) に対して、F を包含写像 A-->のホモトピーファイバーとする。F の各連結成分が有限型であるとき、Z_K(X,A) が P に含まれる必要十分条件は、次の3条件のうち1つが成り立つことである。(1) X が P に属し、K が単体である。(2)X が P に属し、F が非輪状である。(3)X が P に属し、F の各連結成分は非輪状で、K は旗複体である。 以上の結果は、有理化した場合や素数で局所化した場合にも、必要な修正を行って成り立つことを示した。また、この結果の応用として群のグラフ積に関する結果が得られた。
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