研究実績の概要 |
本研究の目的は,双曲結び目の基本群のSL(2,C)-表現に付随したねじれアレキサンダー多項式の性質を明らかにし,そこから得られる代数的性質を用いて,結び目の幾何学的性質を特徴づける枠組を与えることである.より具体的には,3次元球面内の双曲結び目のファイバー性と種数に関するDunfield-Friedl-Jackson予想の解決に向けて,結び目群のSL(2,C)-指標代数多様体の(離散忠実表現を含む)適当なスライスとねじれアレキサンダー多項式の情報から,ファイバー性と種数を決定することを目標とする.つまり,大別して次の2点 1.双曲結び目のSL(2,C)-離散忠実表現に付随したねじれアレキサンダー多項式の明示公式. 2.得られた多項式の性質と結び目のファイバー性および種数の関係 を明らかにすることが目標となる.上述の研究目標に対して,今年度は1.と2.の橋渡しに係る部分に焦点を絞って研究を行った.より具体的には,双曲的2橋結び目のSL(2,C)-離散忠実表現を含むパラボリック表現(メリディアンの像のトレースが2となるSL(2,C)-表現)による,指標代数多様体のスライスを詳しく考察した.この研究の過程で,双曲的とは限らないすべての2橋結び目に対して,そのSL(2,C)-パラボリック表現の定義方程式(Riley多項式と呼ばれる)を詳細に考察し,Riley多項式の零点によって,2橋結び目がほとんど分類できることを示した.
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