研究実績の概要 |
最終年度は、平成28年7月27日から8月13日までMario Eudave Munoz教授を招聘し、共同研究の打ち合わせ、及び、国際研究集会「International Workshop on Spatial Graphs 2016」での講演依頼をした。松崎尚作氏との共著論文「Genera and minors of multibranched surfaces, to appear in Topology and its Appl.」のExample 4.3で挙げた多重分岐曲面について、p>1ならば3次元球面には埋め込めないことを示していたが、そこで提起した問題「p=1ならば、3次元球面に埋め込めるか?」について考察した。gを十分に大きく取れば、この問題は成り立つことを証明できた。更に、平成29年2月18日から2月26日までメキシコ国立自治大学を訪問し、Mario Eudave Munoz教授との研究打ち合わせの続きを行なった。上記の問題において、「g=0とできるか?」について考察した。殆どの場合について、成り立つことが分かったが、今の所は完全解決には至っていない。これらの問題は、多重分岐曲面が3次元球面に埋め込めるならば、1次元ホモロジー群はトーションを持たないが、その逆は成り立つか?という意義を持ち、幾何と代数との相関関係という重要性を持つ。 研究の目的で述べたクラトフスキーの定理の拡張に当たる問題「多重分岐曲面の3次元球面への埋め込み可能性に関する障害集合の決定」について、トーションによる特徴付けが先ず一歩となる。「Sobre un articulo de J. Simon, Anales del Inst, de Mat. (Univ. Nac. Auto, de Mexico) 11 (1971), 43-54」において、連結な境界を持つコンパクト3次元多様体Mがホモロジー3次元球面に埋め込み可能である為の必要十分条件は、H_1(M)が自由かつH_2(M)=0であることが示されている。この文献において、多重分岐曲面で考えた場合、ホモロジー3次元球面でなく3次元球面で可能か?という問題が今後の課題である。
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