研究課題
量子XXZスピン鎖を体積無限大(熱力学的極限)にて考察した。境界条件はBoundary Yang-Baxter 方程式の三角行列解により定めた。基底状態は、自由場の2次式を指数関数に載せたものと、簡明なシュバレー元のq-指数関数の積で構成した。2種類の頂点作用素および基底状態の自由場表現を用いることで、形状因子の積分表示を構成した。境界条件を三角行列で定めた模型の形状因子が、対角行列で定めた模型のそれと一致するための必要十分条件を導いた。境界条件を上三角行列で定めた模型と下三角行列で定めたそれとのスピン反転対称性から、それぞれの形状因子の対応を予想した。具体的には、これはテータ関数の多重積分の間の自明でない関係式を与え、多重ベータ関数の関係式の一般化と考えられる。また、形状因子の一例として特殊な相関関数を考察し、フランスのグループによる量子逆散乱法の結果と比較検討し、フランスのグループの計算ミスも指摘した。これらの結果は、Pascal Baseilhac 氏と論文にまとめ、Journal of Statistical Mechanics に出版した。超対称性 Uq(gl^(1|1))のスピン鎖を、対角境界条件で考察した(三角行列解は存在しないことが示される)。基底状態の自由場表現を構成した。これを用いて相関関数の積分表示を構成した。相関関数の計算に用いるコヒーレント状態はそのままでは発散してしまうため、パラメータを入れ、最後に極限をとる必要があることが分かった。この手で入れるパラメータにより極限のとりやすさが変わる。どれが良い入れ方なのか、より一層の検討を行いたい。
1: 当初の計画以上に進展している
境界条件が三角行列という、当初の想定を超えた場合にまで研究が進展している。
今後は量子超対称性Uq(gl^(N|N))を含めたより高位のアフィン対称性において模型を考察していきたい。とりわけ、A型でない対称性において、一連の基底状態の構成法が適用可能なのかを見極めたい。
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
Springer Proceedings in Mathematics and Statistics
巻: 111 ページ: 265-277
10.1007/978-4-431-55285-7_18
Journal of Statistical Mechanics
巻: P09004 ページ: P09004(34pp)
DOI 10.1088./1742-5468/2014/09/P09004
http://kojima.yz.yamagata-u.ac.jp/kojima.html