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2015 年度 実施状況報告書

可積分系に現れる差分方程式の代数解析

研究課題

研究課題/領域番号 26400106
研究機関筑波大学

研究代表者

竹山 美宏  筑波大学, 数理物質系, 准教授 (60375392)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード可積分確率過程 / アフィンヘッケ代数
研究実績の概要

今年度の研究では、GL型のアフィンヘッケ代数の変形を用いることにより、q-ボゾン系の拡張と見なされる確率過程を構成することができた。
GL型のアフィンヘッケ代数は、対称群の群環の 1パラメータ変形(ヘッケ代数)に、ローラン多項式環を添加したような非可換代数である。この代数にさらにパラメータを導入して変形させたものを本研究では扱っている。一方、q-ボゾン系は、笹本・和達により定義された 1次元格子上の連続時間マルコフ過程であり、可積分な確率過程と呼ばれる模型の一つである。
以前の研究において、q-ボゾン系の Q行列(推移率を成分とする行列)が、上記の変形した代数の表現論を使って構成できることを発見した。今年度の研究ではこの構成を拡張した。ヒントとしたのは Emsiz-Opdam-Stokman による 1次元デルタボーズガスの拡張である。1次元デルタボーズガスは古くから知られている量子可積分系で、そのハミルトニアンは退化アフィンヘッケ代数の表現論を使って構成できることが知られている。Emsiz らはこの結果を拡張し、対称群の表現に値を取るような波動関数に作用する可解なハミルトニアンを構成した。この構成を我々の変形した非可換代数に対して行うと、ヘッケ代数の表現に値を取る関数に作用する差分作用素(離散的なハミルトニアン)が得られる。この差分作用素について、変形パラメータを特殊化し、ヘッケ代数の表現空間としてある特定のものを取ると、表現空間の基底を 1次元格子上の粒子の配置と適当に同一視することにより、確率過程の Q行列が得られる。このようにして得られた確率過程は、1次元格子の上を多種の粒子が動く連続時間マルコフ過程であり、粒子が 1種類しかない場合を考えると、笹本・和達の q-ボゾン系が復元される。よって、q-ボゾン系の多種粒子版と見なせる拡張が得られたことになる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の研究テーマのひとつが可積分確率過程の代数的構造、特にアフィンヘッケ代数の表現論との関係を調べることである。今年度はこの観点から新たな可積分確率過程を構成することに成功した。

今後の研究の推進方策

今年度に構成した q-ボゾン系の多種粒子版について、量子逆散乱法による構成を試みる。さらに、この構成を利用して固有関数の良い表示を得たい。また、もう一つの研究対象である多重ゼータ値の q類似についても、考察を開始する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] Algebraic construction of multi-species q-Boson system2016

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Takeyama
    • 学会等名
      Infinite Analysis 16
    • 発表場所
      大阪市立大学 (大阪府大阪市)
    • 年月日
      2016-03-25
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Algebraic construction of multi-species q-Boson system2016

    • 著者名/発表者名
      竹山 美宏
    • 学会等名
      日本数学会年会
    • 発表場所
      筑波大学 (茨城県つくば市)
    • 年月日
      2016-03-19
  • [学会発表] Algebraic construction of integrable stochastic particle systems2015

    • 著者名/発表者名
      竹山 美宏
    • 学会等名
      可積分系理論の諸分野への応用
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所 (京都府京都市)
    • 年月日
      2015-08-21
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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