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2017 年度 実績報告書

可積分系に現れる差分方程式の代数解析

研究課題

研究課題/領域番号 26400106
研究機関筑波大学

研究代表者

竹山 美宏  筑波大学, 数理物質系, 准教授 (60375392)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード多重ゼータ値 / q 類似
研究実績の概要

今年度は、多重ゼータ値の q 類似について考察した。多重ゼータ値は自然数の負ベキの多重無限和であるが、和に現れる自然数を、パラメータqの関数(q整数)に置きかえたものが、多重ゼータ値のq類似である。
多重ゼータ値については、種々の拡張や数論的な類似物が考えられている。以下では有限多重ゼータ値と呼ばれる有限体の元と、対称多重ゼータ値と呼ばれる実数値に着目する。Kaneko-Zagierは、しかるべき定式化の下で、有限多重ゼータ値を対称多重ゼータ値に移す(有理数体上の代数としての)同型が存在することを予想している。
今年度の研究では、Kaneko-Zagierの予想と多重ゼータ値の q類似の間に以下のような関係があることを発見した(Henrik Bachmann, 田坂浩二との共同研究)。
多重ゼータ値のq類似は無限和で、これが収束するためにはパラメータqの絶対値が1未満でなければならない。しかし、和を取る範囲を有限に制限すると、パラメータqを1のベキ根に特殊化できる。このようにして得られる有限和を、以下では有限多重調和 q級数と呼ぶ。
我々は、Kaneko-Zagier 予想における二つの対象(有限多重ゼータ値と対称多重ゼータ値)が、有限多重調和 q級数から同時に得られることを示した。以下、qは原始n乗根であるとする。nが素数のとき、有限多重調和q級数を(1-q)で生成されるイデアルを法として考えると、位数nの有限体の元が得られ、有限多重ゼータ値と一致する。一方で、nを大きくする極限を取ると有限多重調和q級数はある複素数に収束し、極限値の実部が本質的に対称多重ゼータ値と一致する。
我々の結果は、Kaneko-Zagier の予想の解決に直ちにつながるものではないが、この予想の意味を q類似の観点から説明するものだと言えるだろう。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] |q|=1における量子KZ方程式と多重正弦関数2018

    • 著者名/発表者名
      竹山美宏
    • 学会等名
      多重三角関数とその一般化
    • 招待講演
  • [学会発表] 1のベキ根をパラメータにもつ有限多重調和級数と有限(実)多重ゼータ値2017

    • 著者名/発表者名
      竹山美宏
    • 学会等名
      関西多重ゼータ研究会
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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