研究実績の概要 |
1,3次元空間内で2種類以上の円の連続な族を含む曲面をすべて決定せよ,という問題について当初計画に述べた方法に沿って,途中段階までの計算結果を得た.これは単独2変数関数に対する2連立非線形5階偏微分方程式系の解をを5個の1変数未知関数に対する常微分方程式に帰着させる計算であるが計算結果のいくつかがGBクラスのファイルになると予想されることがわかった.このような大変な状況から目的を達成する別の方法での計算も視野に入れ,連立偏微分方程式系のままで初期パラメータに関する関係式を得る,という方法も考えた.具体的な式を得るにいたっていないがどの程度の計算量で必要な関係式が得られるかを見積もった.それによると目的を達成するためには単独2変数関数の13階微分までの初期値に関する関係式の計算が必要であることがわかった.
2,解析的偏微分方程式系の混合問題の代数解析的取り扱いについて,1990年に研究代表者が発見した層B_Y(O_X)を用い(A geometric approach to diffraction problems, RIMS Kokyuroku, 757(1991), 183-208 にアイデアを掲載),かつ微分方程式系と解に対する境界条件方程式系を合わせたD-加群を構成することにより単独方程式の場合の研究代表者らの結果(On microhyperbolic mixed problems, J.Math. Soc. Japan 43(2)(1991), 261-304)をこの場合にも拡張できることがわかった.この手法は単独方程式の場合においても回折現象におけるG. Lebeau の第二超局所解析性の別証明を与える可能性が期待できる.なお,この証明法は1991年の段階では証明にギャップがあった.
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