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2015 年度 実施状況報告書

量子状態の遷移確率とその漸近挙動

研究課題

研究課題/領域番号 26400113
研究機関名古屋大学

研究代表者

山上 滋  名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (90175654)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードquantum state / CCR algebra
研究実績の概要

CCR代数上の量子状態から生成された作用素環は一般に中心部分を含み得るので、それを古典系の状態記述に利用することは自然な考えであるが、一方で、エネルギー作用素の正値性とは両立しないということも古くから認識されていた。この相互に矛盾した見方は、古典的状態空間を量子系のそれと連続的に連なる形で一律に記述しようとするところに起因するものと考えられる。

今年度の研究は、この両者の分離を模索するところから始められた。まず、エネルギー作用素の正値性の条件の下で、それが引き起こすユニタリ―群が可換作用素環を全体として保存するならば、自明な作用しか引き起こさないという古典的な荒木の定理の証明に現れるスペクトル作用素の仕組みを再検討した。その過程で、ベクトル値測度に関する関数解析的に興味深い現象を見出し、それに対する満足のいく説明を得ることができた。
これは、ヒルベルト空間上の両線型形式が与えられた時、そのヒルベルト空間に値を取る2つのベクトル値測度との合成がいつでも積空間上の複素測度に拡張されるかという問と同値で、これが成り立つのは、両線型形式が Hilbert-Schmidt 型の場合でそのときに限る、というのがその答えである。見かけの素朴さにも係わらずベクトル値測度のテンソル積と密接に関連しており、また古典的ではあるがデリケートな内容を含むものである。
さらに、ここ数年来継続的に行ってきたテンソル圏を対称性の記述言語と見た場合のその解析的取り扱いについて、離散構造から連続量へ連なる極限移行の仕組みが完全正作用素のふくらまし理論と密接に関係するという感触を得た。これは、巨視的な状態の記述をテンソル圏の解析的な極限として捉えることを可能にするものと期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定の計画からのずれが多少あるものの、
研究課題に関連して派生した問題を解明し、論文形式で公開することができた。

今後の研究の推進方策

前年度に得られた研究成果を論文形式にまとめること。
とくに、coherent state の二分律の部分と自由状態に対する power flow の漸近挙動を整理する。
テンソル圏の解析的極限と、テンソル圏加群との関係について解明すること。

次年度使用額が生じた理由

初年度分からの繰越額がほぼそのまま残った。

次年度使用額の使用計画

今年度または来年度のしかるべき時期に研究成果を発表する際その分を使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] SSS on Mathematics

    • URL

      http://math.nagoya-u.ac.jp/~yamagami/

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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