研究課題/領域番号 |
26400114
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小沢 登高 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (60323466)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 解析的群論 / 作用素環 / 因子環 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、離散群上の調和解析について研究を行った。ほとんどベキ零である群を多項式的増大度により特徴づけるグロモフの定理(1981)は、その画期的な証明とともに、幾何学的群論において非常に重要な役割をはたしてきた金字塔である。論文[1]では、研究代表者が推進する「関数解析的群論」の展望に基づき、この定理の極めて簡単な証明を発見した。新証明を利用した更なる一般化も見込まれる。論文[2]では、最近のウデイエ・磯野の定理を一部拡張する形で、群測度空間フォンノイマン因子環がいつ充足という性質を満たすかを調べた。
[1] N. Ozawa; A functional analysis proof of Gromov's polynomial growth theorem. Preprint. arXiv:1510.04223 [2] N. Ozawa; A remark on fullness of some group measure space von Neumann algebras. Preprint. arXiv:1602.02654 [3] R. Okayasu, N. Ozawa, R. Tomatsu; Haagerup approximation property via bimodules. Math. Scand., to appear. arXiv:1501.06293
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究計画で得られたグロモフの定理の別証明及びその応用は、当該分野で今後書かれる大半の教科書に採用されるであろう極めて基本的なものである。研究代表者の推進する「関数解析的群論」の見方もより広がっていくことが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後も解析的群論と作用素環論の双方向的研究を推進してゆく。具体的には、ストックホルムMittag-Leffler研究所、ボンHausdorff研究所、ケンブリッジNewton研究所等に出張する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Mittag-Leffler研究所等に長期滞在したが、交渉の末、滞在費が先方から支援されることとなったため、そのために割り当てていた研究費が使用されなかった。その分は28年度の長期出張に使われる予定である。共同研究者を招聘して研究を行う予定であったが、先方の都合により、スケジュールを調整できなかったため、招聘を28年度に延期した。
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次年度使用額の使用計画 |
ボンHausdorff研究所に長期出張して研究を行う。共同研究者を招聘して研究を行う。
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