研究課題
量子力学の基本的な不等式にHeisenbergとSchrodingerの2つの不確定性関係がよく知られている.これらの結果の様々な形の精密化や拡張を目指している.metric adjusted skew informationへの一般化,さらにその不確定性関係との関係等,作用素論や作用素不等式の観点からの拡張等が得られた.特に物理量を非エルミートにした場合の不確定性関係が得られた.さらに2つの物理状態の間にある種の距離を与えた.これは今までのよく知られた不等式より精密な不等式を与えている.つまり忠実度とトレース距離の関係を表す不等式を新しい観点から類似の関係を見いだしたことである.次にmetric adjusted skew information をさらに一般化したgeneralized quasi-metric adjusted skew information を新たに定義し,今までの拡張されたHeisenbergとSchrodigerの2つの不確定性関係をすべて含む形の不確定性関係が得られた.その他,和型の不確定性関係に着目し新しいいくつかの結果が得られた.これはもともとの不確定性関係は積型のものであったが,必ずしも積型にこだわらず和型のものでも十分従来の不確定性関係と同様な意味を表すことが可能である点に着目したものである.またN個の非エルミート物理量に対する関係式への拡張も得られている.基本的にはノルムのもつ性質の1つに三角不等式があるが,それを精密化あるいは拡張した不等式を新たに構築し,それを用いて不確定性関係に持ち込んだものである.
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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