研究課題/領域番号 |
26400121
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
釜江 哲朗 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特任教授 (80047258)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ランダムネスの評価 / ハウスドルフ次元 / Thue-Morse列 |
研究実績の概要 |
今年度は以下の研究を行った. 1. 記号列のランダムネスを一つの数値としていかに表現できるかを研究した.Kolmogorov-Chaitin complexityはこのような量として定義され理論的には完璧なものであるが,計算可能でないという欠点とともに有限の任意性をともなうという欠点があり,実用的ではない.理論的・実用的の両側面から完璧とはいえなくとも十分満足できる量として,各有限列がこの記号列に現われる回数の2乗和を考察した.この量のもつ様々な性質を導き,乱数検定・乱数生成への応用とともに,究極周期性の特徴付けに成功した. 2. ある種の記号力学系に対応するフラクタル図形とそのレベル集合のハウスドルフ次元を求めることに成功した. 3. Thue-Morse列のスペクトル測度はシフト不変であるが,この下でのシフトに関する力学系がコロモゴロフ的であることを証明した.また,シフトの逆に対応するマルコフ連鎖の性質を調べこの不変測度を求めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
記号列のランダム性や力学系とフラクタルについて興味ある成果が得られたが,当初の目標であった力学系の超定常因子と最大型複雑性についての研究は進展が得られなかった.
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今後の研究の推進方策 |
当初の目標であった力学系の超定常因子と最大型複雑性についての研究を進めるとともに記号列のランダムネスを表現する量についての研究をさらに発展させる.
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次年度使用額が生じた理由 |
多忙のため共同研究のための外国出張ができなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
中国やフランスでの共同研究のために用いる.
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