研究課題/領域番号 |
26400122
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
竹村 剛一 中央大学, 理工学部, 准教授 (10326069)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 特殊関数 / ホインの微分方程式 / パンルヴェ方程式 / Ruijsenaars 系 / 超離散方程式 / 符号付き超離散化 |
研究実績の概要 |
特殊関数は超幾何関数や楕円関数など、初等関数に続く重要な関数たちの総称である。本研究は特殊関数の世界を広げていき、それらの性質を解明していくことを目的としている。 2016年度は、2016年3月修士修了の五十嵐光氏との共同研究を引き続けていった結果、超離散パンルヴェ第二方程式の解の様子についてさらに解明していくことができた。法政大学の礒島伸氏も含めた共同研究では符号付き超離散パンルヴェ第二方程式の特殊解の具体形を、対応する q-離散パンルヴェ第二方程式の解からの極限として計算したが、2016年度の研究では符号付き超離散方程式から直接的に解を計算し、2パラメーター解の導出や解の安定性について結果を得た。 また、ホインの微分方程式の多変数版の差分化に対応する Ruijsenaars 系の退化と、その一変数の場合においては q-差分パンルヴェ方程式との関係について結果を得て、q-差分ホイン方程式の定義へと繋げることができた。 ホインの微分方程式は、複素平面に無限遠点を付加したリーマン球面上に4点に確定特異点をもつ2階線形常微分方程式の標準形であるが、これには楕円関数を用いた表示も知られている。この楕円関数を用いた表示から Inozemtsev 系という量子可積分系がホインの微分方程式の多変数化とみなせ、これの差分化としてRuijsenaars 系が知られている。 本研究において、一変数の Ruijsenaars 系の退化構造を探求し、これが q-差分パンルヴェ方程式を生み出す Lax 対の片方の特殊化として得られることを示した。そして、一変数の Ruijsenaars 系の退化版がホインの微分方程式の q-差分化としてみなせること、およびその妥当性を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ホインの微分方程式の q-差分化はあらかじめ狙っていたテーマであり、これが鮮明に導出できたと自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度まで得られた結果について、さらに研究を推し進めていく。 そして、q-差分ホイン方程式の特殊解や別の特徴付けについて調べていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度は所属大学の制度で在外研究に出ていたため、研究費使用の内容について当初の予定と比べて相違点が出た。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度に旅費と物品費などとして使用する。
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