研究課題/領域番号 |
26400131
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
加藤 幹雄 信州大学, 工学部, 非常勤講師 (50090551)
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研究分担者 |
斎藤 吉助 新潟大学, 自然科学系, フェロー (30018949)
田村 高幸 千葉大学, 大学院人文社会科学研究科, 助教 (30302582)
鈴木 智成 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (00303173)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | バナッハ空間 / バナッハ空間の幾何学 / バナッハ空間の直和 / absolute norm / 凸関数 / uniform non-square性 / James type constant / 幾何学的定数 |
研究実績の概要 |
1.「任意有限個のバナッハ空間の直和のuniform non-square性を特徴づける」問題は、本研究における最も重要な課題の一つである。2004年に筆者等によりこの問題が提示されて以来、open problemとしていくつかのアプローチが成されてきたが、とくに、Betiuk-Pilarska and Prus (2009), Dowling and Saejung (2010)等の著名な数学者により、またDhompongsa, Kato and Tamura (2015)により重要な部分的結果が得られてきた。本研究では新たな凸関数の族を導入して、従前の結果をすべて包含する形でこの問題に対する解答を与えた(preprint)。これは本研究課題における最も重要な成果である。 2.バナッハ空間の直和の研究に凸関数を使うことが本研究の特色であるが、partial [ell]_1-normを生成する凸関数など、種々の凸関数のクラスについて一連の成果を得た(preprint)。 3.バナッハ空間のJames型定数について一連の成果を得た(in preparation)。これにより、従来、個々に研究されてきた幾何学的定数に関する多くの結果が統一的に得られる。 4.Poznan University of Technology (Poznan, Poland)を訪問し,「バナッハ空間の直和と凸関数」に関する一連の成果、及び最新の結果について講演した。また、Pluciennik教授とP-凸性に関する共同研究を開始した。 5.実解析学シンポジウム、京都大学数理解析研究所研究集会、日本数学会年会などで研究成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
任意有限個のバナッハ空間の直和に対してuniform non-square性の特徴づけを得たこと(preprint)は、本研究における最も重要な成果であり、当該分野において一定の注目を集めるものと思われる。 また、James型定数について得た一連の成果(preprint)は、これまで個々に得られてきた幾何学的定数に関する多くの結果を統一的に記述する点で重要である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)新たな凸関数のクラスを導入してバナッハ空間の直和のuniform non-square性を特徴づけたが、その内容、presentationはまだかなり複雑である。このクラス及び主要定理をより簡潔に表現することにより完成度の高い論文の仕上げ・出版を目指す。 (2)種々の凸関数のクラスに関するpreprintの最終的な仕上げ、出版を目指す。 (3)James型定数に関するpreprintの仕上げ、出版を目指す。 (4)P-凸性に関する国際共同研究を進める。 (5)空間X_(ψ)の研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度に数回の海外出張を計画しているため、その費用を次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
H29年度請求額と併せて次の海外出張を計画している。 4月1日―7日:Khon Kaen (Thailand)講演及び研究討論、7月3日―11日:Poznan (Poland)国際会議に出席講演、9月11日―24日:Lulea (Sweden), Wien(Austria):講演及び研究打ち合わせ
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