研究課題/領域番号 |
26400133
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
杉田 洋 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50192125)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | モンテカルロ積分 / ランダム・ワイル・サンプリング / k対独立 |
研究実績の概要 |
本研究では昨年度,ランダム・ワイル・サンプリングを拡張したk対独立確率変数列によるモンテカルロ積分法の開発を行った.本年度においては,その実装を行い実際にコンピュータによる計算実験を行い性質を詳しく調査した.そこで以下のような知見を得た. k=3の場合は,我々の開発した3対独立確率変数列の和の分布は,一般に正規近似できないことが数値実験的に得られた.理論的には3次モーメントまでi.i.d.サンプリングの場合と一致するのであるが,特別な場合には4次モーメントまで一致することが確認された.また,k>=4 の場合には,数値実験的には正規近似できるようなデータを得た.しかし,理論上は,k=2の場合(ランダム・ワイル・サンプリング)と同様に中心極限スケーリングはサンプル数の極限において退化すると予想される.実際,中心極限スケーリングの6次のモーメントを計算してみると,サンプル数の増加に伴い発散する様子が数値実験的に確認された.このことは我々の予想の傍証の一つと言える.以上の結果は,共同研究を行った阿知波拓の修士論文において詳しく述べられた. また,招待論文 Random Weyl sampling---A secure Monte Carlo integration method を執筆し,そこでモンテカルロ法の数学的定式化,ランダム・ワイル・サンプリングが2対独立な確率変数列を生成することの新しくて易しい証明,などを与えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
k次モーメントまで正確にシミュレートするk対独立確率変数列を生成するプログラムの実装を行い,その性能について数値実験的な成果を上げることができたから.
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今後の研究の推進方策 |
疑似乱数の精密な検定,大偏差原理の数値実験的実証,滑らかでない関数の最大値の探索,数値積分が非常に困難な場合の考察,などの中からテーマを選んで予定通り研究を推進する.
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次年度使用額が生じた理由 |
筑波大学への出張を一つ取りやめたため
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次年度使用額の使用計画 |
本研究に関連する確率論,応用数学および解析学関係の図書,およびソフトウェアを購入する.
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