研究課題/領域番号 |
26400136
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
三上 敏夫 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (70229657)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 確率最適輸送問題 |
研究実績の概要 |
シュレディンガー汎関数方程式がコスト関数がノルムの2乗の場合の確率最適輸送問題のガトー微分の方程式であること、及びモンジュ・アンペール方程式がコスト関数がノルムの2乗の場合の最適輸送問題のガトー微分の方程式であることを示した。 電子メールによる議論の末、海外共同研究者のKansas 大学Jin Feng氏と共に、シュレディンガー汎関数方程式の解の終期分布に関する可測性の研究を関数解析的なアプローチにより開始した。 確率最適輸送問題の有限性の問題を考えた時、コスト関数がノルムの2乗の場合は、確率最適輸送問題は、初期値分布と終期分布を固定した場合のエントロピー最小化問題になる。この場合に、対数ソボレフ不等式による評価の方が我々が以前得た結果より良いことを示した。これは、我々の以前のアプローチが時間について対称なために初期分布と終期分布の効果を考慮せざるおえなかったのに対して、対数ソボレフ不等式によるアプローチは、終期分布の効果のみを考えれば良いためである。ただし、我々のプローチは一般的なコスト関数に対して適応できるという点で優れている。また、Fokker-Planck方程式に関して、同様の問題を考えた。もっとも、この結論は、我々の確率最適輸送問題の定式化が時間に対して完全には対称でないことも示しており、問題自身の定式化の再考という新たな課題を示唆した。さらに、空間次元が1次元の最適輸送問題において、コスト関数が凹の場合の最小解からなる独立確率変数列を考え、それから作られるランダムな経験分布の中心極限定理、さらには、極限分布としてピン留めされた1次元ブラウン運動の範囲が出てくることを示し、その確率分布関数を求めた。特に、テータ関数の変換公式を用いて、2つの表現を与えると共に、逆に、確率論的な考察と偏微分方程式による考察からテータ関数のある種の変換公式が示されることも証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画にあるシュレディンガー汎関数方程式の解の終期分布に関する可測性の問題が、海外共同研究者の協力により開始した。また、この過程で、新たな課題や予想外の研究成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にあるシュレディンガー汎関数方程式の解の終期分布に関する可測性の問題を海外共同研究者の協力により発展させたい。平均場理論を考慮しながら確率最適輸送問題の新たな定式化を考えたい。平均場理論、確率最適輸送問題と整数論の関係についてさらに研究を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度は、先方の健康上の理由により、海外共同研究者のJin Fneg氏と実際に会って研究連絡することができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度は、海外共同研究者のJin Fneg氏と実際に会って研究連絡するつもりである。
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