研究課題/領域番号 |
26400140
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
増本 誠 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (50173761)
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研究分担者 |
柴 雅和 広島大学, 工学研究院, 名誉教授 (70025469)
山田 陽 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60126331)
柳原 宏 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (30200538)
中村 豪 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50319208)
郷間 知巳 山口大学, 創成科学研究科, 助手 (70253135)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リーマン面 / 穴あきトーラス / 正則写像 / 等角写像 / 極値的長さ / 双曲的長さ |
研究実績の概要 |
リーマン面の把手は,交点数が1に等しい2本の単純閉曲線の組で決まる。そのような単純閉曲線の組が指定されたリーマン面を,把手を指定したリーマン面と呼ぶ。把手を指定した穴あきトーラスの全体Tは,3次元の境界付実解析的多様体をなしている。さて,把手を指定したリーマン面Yを任意に選び,固定する。Tの元Xのうち,指定されたXの把手を指定されたYの把手に写す正則写像が存在するもの全体T[Y]の幾何学的性質を調べた。そのために,等角的に埋め込まれることを半順序関係と捉えてTを半順序集合とし,この半順序に関するある種の条件命題を把手条件と名付けた。集合T[Y]も把手条件「XからYへの正則写像が存在する」の真理集合として記述される。そして,どの把手条件の真理集合もリプシッツ境界を持つ閉領域で,全空間Tの牽縮であることを示した。 この他に,中村は,種数gの閉リーマン面からなるモジュライ空間上の関数として,各点(閉リーマン面)の最大の単射半径を与えるものを調べた。この関数の最大値は知られており,種数を用いて書き表せる。また,種数が小さいときは最大値を与える点の個数も知られている。特に種数が2の場合はモジュライ空間の被覆空間であるタイヒミュラー空間の大域的座標が得られているので,タイヒミュラー空間上の7変数関数としてこの関数の具体的な表記を考察した。また,山田は,整函数のなす再生核空間であり,多くの応用を持つ重要な空間であるde Branges空間を調べた。De Branges自身による理論構成は,再生核をあまり表に出さないため,少し分かりづらいものになっている。そこで,再生核理論の立場からde Branges空間を扱い,より見通しの良い理論構成と拡張の可能性について研究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
把手を保つ正則写像を許す穴あきトーラス全体に関して満足する結果が得られ,それをまとめた論文を出版し,投稿することが出来たから。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得た結果を,より高い種数のリーマン面を定義域とする場合に拡張したい。等角的埋め込みの存在を基礎とする「把手条件」を拡張する必要があるが,最近発表されたある論文を手がかりに拡張を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
柴の場合,山口への研究打合せ旅費をまかなえない程度の少額の未使用額が生じた。中村の場合,研究集会の開催場所が想定より近かったため宿泊費と交通費が少なくて済み,未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
柴と中村の両者とも平成29年度配分額と合わせて山口への研究打合せ旅費として使用する。
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