研究課題/領域番号 |
26400143
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
金 大弘 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (50336202)
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研究分担者 |
桑江 一洋 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (80243814)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Feynman-Kac functionals / gaugeability / Penalization / heat kernel / Markov process |
研究実績の概要 |
一般化された非局所型ファインマン・カッツ汎関数の重みをもつ対称マルコフ過程に関する大域的性質とその応用問題に対して、以下のような問題をディリクレ形式論やポテンシャル論といった関数解析学的取り組みを通じて明らかに究明した。 (1)ファインマン・カッツ汎関数の可積分性に対する最も適切な解析的特徴づけ。(2)一般化された非局所型ファインマン・カッツ処罰問題。(3)対称安定過程の枠での一般化ファインマン・カッツ半群の熱核に対する安定性。
(1) については、ファインマン・カッツ汎関数の可積分性に対する解析的特徴づけが一意的でないことで、最も計算が容易な特徴づけを与えることは、その応用問題を考える際に大変重要な意味をもつ(研究成果は投稿済み)。(2) については、零エネルギーを含むファインマン・カッツ汎関数の場合においては既存の手法と異なる新しいアプローチが要請されるが、(1)で得た新しい結果が重要な役割を果たした(研究成果はTohoku J. Math.に掲載決定)。(3) については、まだ発展の余地が多いテーマである。目標は一般の対称マルコフ過程の枠組みでの一般化ファインマン・カッツ半群の熱核に対する安定性問題を考えているが、それに先立った研究として、対称安定過程の枠で一定の結果を得た(研究成果はFestschrift Masatoshi Fukushima, Interdisciplinary Mathematical Sciences, Vol.17, World Scientific, pp. 287-305 (2015)で発刊された)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の主な研究方向は、対称安定過程の枠組みでの一般化ファインマン・カッツ半群の熱核に対する安定性問題と一般化ファインマン・カッツ処罰問題への取り組みであった。しかし、ファインマン・カッツ汎関数の可積分性に対する最も適切な解析的特徴づけを行うことの重大さに気づき、その問題の解決を先に実施した。分担者との議論を通じて得た結果は大変満足な水準まで行き、その結果の波及効果は熱核に対する安定性問題やファインマン・カッツ処罰問題まで及び、それぞれの研究内容において更なる新しい結果が得られたことで、本年度の研究目的における達成度はおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今まで得た研究成果を踏まえて、一般化された非局所型ファインマン・カッツ汎関数の重みをもつ対称マルコフ過程に関する以下のような問題を明らかに究明したいと考えている: (1)一般化されたシュレディンガ作用素に対するGround States の存在性。 (2)一般化ギルサノフ変換で誘導される確率測度の絶対連続性と相対エントロピーとの関係。 (3)一般の対称マルコフ過程の枠での一般化ファインマン・カッツ半群の熱核に対する安定性問題。
これらの問題については既に一部分新しい結果を得ている。
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