研究実績の概要 |
A pairwise independent random sampling method in the ring of p-adic integers, Osaka Journal of Mathematics,53巻,3号 pp 775 - 798,2016.(査読有)を発表し,超距離空間上において全く知られていなかったワイルの無理数回転に対応するものが,回転角を固定された非有理数の整数倍回転とするのではなく,非有理数のファン・デア・コルプート列の一般項倍回転とすることによって得られることを,共著者とともに明らかにした.これはトーラス上での擬似乱数の理論が,ファン・デア・コルプート列とワイルの無理数回転を両輪として発展してきた経緯があるが,これと同様な発展が超距離空間上でも成し得ることを初めて示すものである.今後も発展のための道筋になり得る考察であり,俯瞰性に厚みが持たせられる根拠となる研究ができた.また,CAPACITARY ESTIMATE ON THE SPACE OF ENDS OF TREE BASED ON ORLICZ NORM,Facta Universitatis, Series Physics, Chemistry and Technology,14巻,3号 pp 120-127, Special issue, 2016(査読有) を発表し,超距離空間における完全正規直交系が固有関数となっている既存の確率過程の研究の枠外になる場合であっても,オーリッチ空間による容量を加味することにより,ポテンシャル論的な理論展開が可能であることを共著者とともに示すことができた.ディリクレ空間に対し,さらに有効性をもつ別の関数空間を付随させることが可能であることを示す研究ができた.俯瞰性のレベルの向上が図られることが示された.
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今後の研究の推進方策 |
裾野の広がりがある研究テーマであることを,比較的基本的な問題設定に立脚する形で,情報発信することができた.Roland Potthast 氏(DWD, Germany/University of Reading, UK)などのデータ解析関係者との接触をすでに図ってきたが,新しく有意義な問題意識に結びつけることも心がけつつ,完備正規直交系,固有関数に基づくこれまでの研究をより拡充することを意識した研究の遂行を行う方針である.具体的なテーマ設定の候補としては,データの分析の論拠を見出すために生かすなどの拡充的研究や,ディリクレ空間等に付随する関数空間を柔軟に適用する方法論の探求がある.研究課題の守備範囲の広さを確認したり,深化させる方向で研究をさらに続ける方針である.
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