研究課題
基盤研究(C)
タイヒミュラー・モジュラー部分群と幾何学的コクセター群との類似の観点から、コクセター系から擬アノソフ写像を構成し、その拡大率を調べた。具体的にはA型のアファインコクセター系の頂点の1つに1辺付け加えたコクセター系を扱った。今回の研究では頂点数が偶数の場合にコクセターグラフの2重被覆をとったグラフに対応するコクセター系が、 頂点数がが8以下なら双曲的で、10以上なら高階数というクラスになることを示した。今回の結果の応用として拡大率が2サラム数になる擬アノソフ写像族が構成できた。
リーマン面の変形理論
曲面から曲面自身への自己同相写像の反復合成を曲面上の離散的な時間発展と思うと、曲面の種類及び同相写像の種類により複雑になる。特に種数が2以上の曲面における擬アノソフ写像は、伸びる方向と縮む方向に分解でき、トーラスの場合の双曲変換の類似になっている。この伸縮の割合を擬アノソフ写像の拡大率といい、その数論的性質など詳しく調べられている。今回の研究では鏡映変換から定まるコクセター系という代数系を用いて、2サラム数という代数的整数を拡大率に持つ擬アノソフ写像を構成した。