研究課題/領域番号 |
26400159
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
上村 豊 東京海洋大学, その他部局等, 教授 (50134854)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 逆問題 / 非線形項 / 非線形振動 / 爆発時間 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、微分方程式の係数項や非線形項を、観測データすなわち微分方程式の解の情報から定める問題(逆問題)の数学理論の構築とその応用を研究するものである。特に、逆問題研究において難解な存在定理、すなわち係数項や非線形項が存在するための観測データの条件を求める結果を追及する。研究の2年度である平成27年度は次の研究成果を得た。 (1)移流拡散方程式の速度場と拡散係数をトレーサーデータから決定する問題との関連で、エネルギー依存シュレディンガー方程式の無反射散乱データを実現するポテンシャルを求める計算方法を開発し、いわゆる1-ソリトンを実現するポテンシャルがどれだけあるかを決定した。 (2)非線形振動の周期と振幅の関係から非線形減衰項を定める問題について、西村仁孝と共同研究を行い、クーロン摩擦モデル方程式の一般系である速度互換型結合系の復元力の同定定理(復元力の一意性)と再構成法を確立した。また、クーロン摩擦モデルが等時周期運動を実現する非線形項は線形のものに限ることを証明した。 (3)非線形微分方程式の解の爆発時間の情報から非線形項を定める問題について、宇佐美広介と共同研究を行い、与えられた爆発時間データが実際に爆発時間として実現されるための必要十分条件および精密にして明快な十分条件を与えることに成功した。これらの成果はこの問題に関し前年度に得られた結果を大域的な定理に拡張したものであり、本研究課題での最終的な目標を達成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非線形微分方程式の解の爆発時間の情報から非線形項を定める問題について、大域的な存在定理を得ることに成功した。これによってこの問題に関する本研究課題の目的である「解の爆発時間の観測データを実現する非線形項の存在定理」が確立された。また、振動の周期と振幅の関係から非線形減衰項を定める問題に、減衰振動等に対する逆周期対応関数問題の研究指針を与えるに十分な研究結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成28年度には、移流拡散方程式の速度場と拡散係数をトレーサーデータから決定する問題をより一般的な視点から研究し、研究成果をまとめるとともに更なる進展を目指す。
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