研究課題/領域番号 |
26400167
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西谷 達雄 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80127117)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Gevrey強双曲性 / Bronshteinの定理 / 初期値問題 / 適切性 / 局所化 / 伝播錐 |
研究実績の概要 |
Gevrey係数の微分作用素に対するBronshteinの結果を時空間におけるWeyl-Hormander calculusを用いて証明することに成功した.この結果は2014年9月にイタリアのCagliariで開催された国際研究集会で発表した.また J.Rauchと共同で一階の系に対するBronshteinの定理を考察し,従来のように単独の方程式に帰着させる,という方法ではなく,系のままでsymmetrizerを構成して初期値問題の適切性を証明する,という全く新しい手法でBronshteinの結果を再証明することに成功した.この別証明の副産物として, 結果を系の固有値の最大重複度に依存しない形で定式化することができた. 2階の微分作用素について指数が2乗可積分な空間より大なSobolev空間で,因果律を保つ超局所エネルギー評価が成立すれば,初期値問題が局所的に適切となることを示した.この結果は超局所単位分解による評価の寄せ集めが困難な場合において非常に有効であることが分かった. Bologna大学のE.Bernardiと共同で3階の微分作用素でその3次特性点における局所化の伝播錐が3次特性多様体と横断的でなくかつ滑らかに分解出来ないものを考察し,この作用素に対する初期値問題がGevrey 2 クラスで適切となること,またこのGevrey 2 クラスはoptimalであることの証明を与えた.この作用素はいわゆるIvrii-Petkov-Hormander条件を満たしており,伝播錐と特性多様体の横断性に関する予想の一つの肯定的情報を与えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般m階の微分作用素でm次特性集合が多様体である場合を考察し,その局所化が余法束上で狭義双曲型多項式となる場合でかつ局所化多項式の伝播錐が特性多様体に横断的である場合,Gevrey強双曲型指数がm/(m-2)であるか,という基本問題についての研究がほぼ予定通り進んだ.
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今後の研究の推進方策 |
微分方程式系に対するBronshteinの定理をsymmetrizerを構成することによって証明することに成功し,系が一様対角化可能な系とどの程度異なるかを指標とする結果を得たが,この指標がどの程度optimalであるかがまだ明らかになっていないので,この点を明らかにするよう研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
パリ6大学のVaillant氏とパリ6大学で10日程度協同研究を行う予定であったが,先方との日程調整がつかず,この協同研究の実施を次年度の5月に延期したため.
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次年度使用額の使用計画 |
5月下旬にパリ6大学を訪れ,Vaillant氏と情報交換および協同研究を行う.このための旅費として予定している.
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