研究課題/領域番号 |
26400171
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
内藤 雄基 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (10231458)
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研究分担者 |
石井 克幸 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 教授 (40232227)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 臨界指数 / 非線形偏微分方程式 / 分岐問題 / 楕円型偏微分方程式 |
研究実績の概要 |
非線形偏微分方程式においては、非線形性や空間次元、パラメータ等によって決まる臨界指数が存在し、その指数を超える毎に解の性質や挙動が劇的に変化することが知られている。 今年度は、非線形放物型偏微分方程式および楕円型偏微分方程式に対して、解の漸近的性質および解の分岐構造と臨界指数との関連性について考察を行った。非線形項がべき関数である非線形楕円型偏微分方程式においては、空間次元によって決定される臨界指数が存在する。とくに、超臨界指数とも呼ばれる空間11次元以上で現れる Joseph-Lundgren 臨界指数(以後 JL指数とも記す)が解の性質に及ぼす影響について考察を行った。 べき乗型非線形項をもつ非線形熱方程式の Cauchy 問題の時間大域解の漸近挙動について考察を行った。本研究では、漸近接合展開法に基づく比較定理を駆使することにより、優JL臨界指数をもつ問題において、重み付きのノルムにおける定常解への収束レートを与えることができた。とくに、重み付きノルムに対してもYanagida-Polacik(2003年)の結果が成立することを示すことができた。また、2つの解の初期関数の挙動が、空間無限において近ければ、それに応じて時間無限において漸近することを示すことができた。 非線形楕円型偏微分方程式の境界値問題の解の分岐構造について考察を行った。特異解の存在・一意性および正則な解が特異解に漸近することを最初に示し、分岐パラメータの挙動によって分岐構造の分類を行った。非線形項の指数が、JL 指数より小さい場合は、既に解構造が示されているが、JL指数を超える場合の解構造は未解決である。現在、JL指数を超える場合の特異解における線形化問題の零点の個数と分岐構造の関係性の解明に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非線形放物型偏微分方程式の時間大域解の漸近挙動において、 Joseph-Lundgren 臨界指数が解の性質に及ぼす影響に関する特徴的な現象を捉えるとともに、非線形楕円型偏微分方程式の境界値問題における分岐構造の解明に着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
非線形楕円型偏微分方程式の境界値問題における分岐構造を明らかにするとともに、一般の非線形項をもつ楕円型偏微分方程式に対しても研究を進めたい。そのために、まず特異解の存在・一意性、および正則解の漸近的性質を明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
非線形楕円型偏微分方程式に対する弱解の正則性の解明に予定以上の時間を費やしたため、研究協力者との研究打ち合わせを遅らせることとなった。そのために未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究打ち合わせ等を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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