研究課題/領域番号 |
26400174
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
松永 秀章 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40332960)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 時間遅れ / 積分方程式 / 差分方程式 / 関数微分方程式 / 中心多様体定理 / 安定性 / 解の漸近評価 / 特性根解析 |
研究実績の概要 |
岡山理科大学の村上悟教授らと共同執筆した無限の時間遅れをもつ積分方程式に対する中心多様体定理に関する論文が Funkcialaj Ekvacioj に掲載受理され、著者校正を経て、論文掲載された。 無限の時間遅れをもつ積分方程式に対して、非線形の摂動項が十分小さいときに解の漸近挙動を特性方程式の根で特徴づける漸近評価とリヤプノフ指数の関係を解明することができた(投稿準備中)。 線形化方程式のプロトタイプである有限の時間遅れをもつ線形積分方程式のすべての解が零に収束するための必要十分条件を、特性根解析を用いて、係数行列と有限の時間遅れのパラメータで具体的に与えることができた(投稿準備中)。 1階非線形スカラー差分方程式の平衡点が非双曲的かつ、あるクリティカルな条件を満たす場合の平衡点の安定性を詳細に解析し、先行研究を改善することができた。この研究成果については、The 20th International Conference on Difference Equations Applications, July 21-25, 2014, Wuhan, China および Japan-China Joint Workshop on Ordinary Differential Equations and Related Topics in Osaka 2014 で口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した平成26年度の研究計画は4つである:1.非線形積分方程式に対する中心多様体定理を確立する;2.非線形積分方程式の解の漸近評価について研究する;3.非線形積分方程式の分岐問題の基礎理論を整備する;4.特性根解析による線形化方程式の零解の漸近安定条件を導出する。 3以外はおおむね計画通りに研究が進展した。3の代わりに1階非線形スカラー差分方程式の平衡点が非双曲的かつ、あるクリティカルな条件を満たす場合の平衡点の安定性を詳細に解析し、先行研究を改善することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後もおおむね研究計画の通り研究を進めていく。 これまで得られた中心多様体定理とFormal adjoint theoryを駆使して、非線形積分方程式の解の分岐構造を明らかにする。また、新たに確立した積分方程式に対する解析手法を時間遅れを考慮した関数微分方程式や差分方程式などへ発展・応用する。なお、2014年7月に中国武漢で開催された第20回差分方程式とその応用に関する国際会議(ICDEA2014)において、2016年7月に第22回差分方程式とその応用に関する国際会議(ICDEA2016)のオーガナイザーを岡山理科大学の濱谷義弘教授と大阪府立大学の山岡直人准教授と松永が共同で務めることが提案され、その後正式に決定した。したがって、ICDEA2016の開催準備および運営も上記の研究計画と平行して行う必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年7月に大阪府立大学で開催される第22回差分方程式とその応用に関する国際会議(ICDEA2016)の開催準備費および運営費に使用するため。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年7月にポーランドで開催される第21回差分方程式とその応用に関する国際会議(ICDEA2015)や国内の学会・研究集会に出席し、これまでの研究成果を発表する。また、本研究に関係する図書を購入し研究を進める。なお、2016年7月に大阪府立大学で開催される第22回差分方程式とその応用に関する国際会議(ICDEA2016)の開催準備費および運営費に使用するために繰り越し金を予定している。
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