変分問題とは与えられた汎関数の極値を与える写像を求める問題であり、「直接法」と呼ばれるアプローチにおいては、まず弱解(=適当なソボレフ空間に於ける解)を求め、考えている問題が要求する正則性をその弱解が持つことを示すことを目指す。この後半のステップは「正則性の問題」と呼ばれている。 変分問題で扱われる汎関数は、未知関数の微分への依存性、より詳しく言えば未知関数の微分に関する増大度により、standard growth と non-standard growthの2つに分類される。本研究で扱うのは、このnon-standard growthをもつ汎関数に対する変分問題に対する解の正則性の問題である。 26年度はp(x)-growthと呼ばれるタイプの汎関数を扱い、p(x)が2以上に場合に対して、汎関数の最小点となる関数の、定義域の境界上での正則性を研究し、standard growthの場合に関する既知の結果から予想されるとおりの結果を得た。 27年度に引き続きp(x)-growthと呼ばれるタイプの汎関数を扱った。これまでは、p(x)が2以上の場合と1<p(x)<2の場合に対して別々に結果が得られており、途中で用いる手法も異なっていた。本年度は立川の博士課程の学生との共同研究により、これらを統一的に扱い、これまでの結果をp(x)>1という条件の下で示すことに成功した。 28年度はまず前年度に得た結果を論文として発表した。さらに、Napoli大の研究者等と共にラムダ関数と呼ばれる関数(N関数等いろいろな呼び方をされており、まだ確定した名称とは言えないようである)の中にエネルギー密度を入れたものの積分で与えられる汎関数に対する研究を開始し、部分正則性に関する結果を得た。
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