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(粘)弾性体における破壊現象およびAging問題に対する数学解析をテーマとして、平成29年度には主に以下の研究活動を行った。
前年度までに得られた非線形（粘）弾性体におけるき裂問題の数学解析の結果をまとめ、共著論文として国際専門雑誌に投稿し掲載された。この問題は海外研究協力者であるK.R.Rajagopal氏(Texas A&M University)が考案した非線形弾性体モデル"strain-limiting model"で記述されるき裂を含む２または３次元の非線形弾性体領域において、き裂上に不等式タイプの非貫通条件を課した境界値問題に対する一般化された解（解の正則性が得られた場合にはそれが通常の意味での弱解となるような解）の一意存在性を証明し、その定理が成り立つための応力－歪み構成則が満たすべき十分条件とその具体例を与えたものである。このモデルは微小ひずみの状況下での線形弾性体を一般化した、き裂先端における応力集中も許容できるという特徴がある。また、このモデルを粘弾性体（Kelvin-Voigtモデル）の場合に拡張し、き裂上にトラクションフリーの条件を課した擬定常の境界値問題に対しても同様の結果が得られたことをまとめた。
さらに、このモデルをクリープ現象（物体に一定応力を負荷したとき、ひずみが時間経過とともに変化する現象）を考慮した非線形粘弾性体モデルの場合にも拡張し、同様の一般化された解の一意存在性を証明した。この研究成果はV.A.Kovtunenko氏(University of Graz)とK.R.Rajagopal氏との共著論文として国際専門誌に投稿準備中である。
今後は動的破壊問題や地震時の断層破壊への応用への展開を計画している。
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