研究課題/領域番号 |
26400184
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
滝口 孝志 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 准教授 (50523023)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 逆問題 / インフラ再整備 / 超局所解析 / 環境問題 |
研究実績の概要 |
実用への応用を視野に入れた産学・学際連携の強化に努めた。その結果、自身の成果としては、インフラの長寿命化・再整備と福島における環境再整備に必要な理論構築に努めた。インフラの長寿命化・再整備に関しては、高速道路におけるCT技術開発のための基礎理論を確立すると共に、そのCT理論の鉄筋コンクリート建造物への応用について研究を進めた。コンクリート建造物におけるCT技術開発は積分幾何と深い関係を持っており、理論及び応用数学と工学の相互還元という立場からも興味深い研究課題であることがわかっている。福島における環境再整備に必要な理論構築に関しては、大気中におけるCs-137の長期挙動を記述する数理モデルを構築し、事故後5年間の観測データを基に、その観測地点における将来100年間に亘るCs-137の大気中濃度を予測可能にする理論を確立した。また、この研究と並行して、土壌及び河川中におけるCs-137の挙動を記述する数理モデルについても研究を進めている。土壌中におけるCs-137の濃度挙動の記述には非整数階導関数を用いた移流異常拡散方程式による表現が適切であると考えており、偏微分方程式論・超局所解析との関連から数学に還元される課題も見いだされている。河川中におけるCs-137の濃度挙動の記述については、ガンマ分布との関連が指摘されており、土壌中にけるCs-137の挙動を記述する異常拡散との関連について研究を進めている。 これらの研究成果報告と、新たな課題創出のため、2015年11月に九州大学MI研究所において、研究集会 "Mathematical Backgrounds and Future Progress of Practical Inverse Problems" を京都大学の藤原宏志准教授と共催し、国内外の研究者および、産学・学際連携に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題における実用を視野に入れた、産学・学生連携態勢確立は確実に進んであり、研究者同志の連携を基とした新たな研究課題も創出されている。その結果、当初、課題として取り上げたインフラの長寿命化・再整備及び環境問題に関連する研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により得られた成果の発表を進めると共に、これまでの研究活動により抄出された未解決問題の解決に努めたい。特に、今年度は本研究の最終年度であるので、実用における成果のみならず、実用から理論への還元に関する研究にも重点を置きたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
先方の都合ななどで予定していた海外出張に行くことが出来なかったこと、海外から招聘を予定していた都合の調整が不調に終わり招聘が延期になったことが次年度使用額が生じた理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
上記研究予定は今年度中に確実に実施する。特に、海外からの研究者招聘については、今年10月に九州大学MI研究所で開催予定の国際会議への招聘も検討したい。
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