平成28年度は,前年度に行った全融合性をもつジェネリック構造の研究をまとめ,その論文は京都大学数理解析研究所講究録に掲載された.全融合性をもつジェネリック構成法の研究は,Lachlan予想の反例の構成と深くかかわっている.実際,Lachlan予想の反例がもし存在するならば,その反例がもつべき条件の一部をみたす例を,全融合性をもつジェネリック構成法を用いて構成することができた.この結果は,9月に開催された日本数学会秋季総合分科会で報告された.一方,Lachlan予想の反例がもつべき条件に関して,よく知られたものがいくつか存在するが,多少改良の余地があると考えた.そこで,新たな条件(*)を設定し,この条件に関する性質についてまとめ,その結果を12月に開催された京都大学数理解析研究所で報告し,国内外のモデル理論研究者と意見交換を行った. これをもとに,条件(*)に関する研究をさらに推し進め,3月に開催された鹿児島モデル理論研究集会において報告を行い,全体をまとめた結果を3月に開催された日本数学会年会で報告を行った.なお,これら結果は数理解析研究所講究録に掲載することを予定している.
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