• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

錐最適化問題を利用した最適化モデリングの提案・開発

研究課題

研究課題/領域番号 26400203
研究機関九州大学

研究代表者

脇 隼人  九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 准教授 (00567597)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードH∞制御 / 行列不等式 / 半正定値計画問題 / 不変零点 / 面的縮小法
研究実績の概要

今年度は, 状態フィードバックにおけるH∞制御問題を扱い, そこから現れる行列不等式問題の解析を行い, 下記の結果を得た:
(1) 行列不等式の双対問題を導出し, 双対問題が実行可能内点解を持たない必要十分条件をシステム論の言葉で書き下した. 具体的には, 安定な不変零点の存在が必要十分条件となることを示した.
(2) 面的縮小法を適用することで, 実行可能内点解を持つ双対問題を構成できるが, その手続きをシステム論の手法で理解することができた.
(3) 次年度予定していた数値実験を行い, 双対問題に実行可能内点解がない場合の数値的難しさを評価した.
以上の解析により, 行列不等式問題の双対問題と安定な不変零点が密接に関係していることが分かった. 特に, 安定な不変零点がシステムに存在する場合, 得られる行列不等式問題を高精度に求解することが困難であることが判明した. 一般に, 不変零点に対しては不安定な零点が制御の観点では重要視されている一方で, 安定な零点を持つシステムに対しては, 固有の議論がほとんどなされていない. この研究により, 従来制御ではあまり深く議論されない安定な不変零点の重要性を主張することができた. この議論をまとめて, 制御理論の国際会議に投稿している.
H∞制御に関しては, 1990年代に重点的に議論され現在ではその最適化手法も確立されており, すでにやり尽くされた感もあるが, この研究を通してH∞制御に関してまだ議論しなければいけないことがあることを明らかにできた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

H∞状態フィードバック制御に関してはある程度まで理解・議論することができた. この議論・研究の結果をまとめ制御理論の国際会議に投稿した. これにより, 今年度は進展した, と判断した. また, 国内の制御理論研究者に対して数回研究発表を行ったところ, 良好な反応であった. 特に, 従来の考え方では安定な不変零点については考慮する必要がなかったが, 行列不等式・半正定値計画問題に関しては理論や数値計算の観点でも悪影響を与える, ということが印象的であったようである. また次年度予定していた数値実験をすでに実施しており, その点も含めて本研究が順調に進展している, と判断した.

今後の研究の推進方策

現段階では, 状態フィードバックのみを扱っており, いくつか細部まで議論が尽くされていない. 例えば, 特定の行列が列フルランクでない場合などが挙げられる. また, より一般的である出力フィードバックにおけるH∞制御の場合を考慮する予定である. これについてはすでに状態フィードバックと同様の議論が展開できることが分かっており, 今後この議論を精密化する予定である. さらに, 行列不等式を利用する制御の問題では, 正定値なリアプノフ行列を見つける問題として定式化される. 一方数値計算を適用する場合は, 半正定値な行列を見つけることになり, 必ずしも正定値ではない. このギャップが数値的難しさに現れていると考えられるので, そのことについも重点的に研究する予定である.

次年度使用額が生じた理由

国際会議に論文を投稿・講演する予定であったが, 研究の議論が論文投稿の締め切りまでにまとまらなかったため, その国際会議への参加も見合わせた. その分, 使用金額が減り次年度に繰り越すことにした.

次年度使用額の使用計画

今年度の成果をまとめ, すでに国際会議に投稿している. 繰り越した分は, その国際会議への参加・発表の旅費に利用する予定である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] H∞制御問題に対する面的縮小法の適用2015

    • 著者名/発表者名
      脇 隼人
    • 学会等名
      研究集会 「最適化:モデリングとアルゴリズム」
    • 発表場所
      統計数理研究所
    • 年月日
      2015-03-19 – 2015-03-20
  • [学会発表] 半正定値計画問題に対する面的縮小法2014

    • 著者名/発表者名
      脇 隼人
    • 学会等名
      RACOT
    • 発表場所
      九州工業大学サテライト福岡天神
    • 年月日
      2014-12-27 – 2014-12-27
  • [学会発表] 面的縮小法を用いた最適化問題の解析と計算2014

    • 著者名/発表者名
      脇 隼人
    • 学会等名
      自然言語処理と最適化
    • 発表場所
      九州大学伊都キャンパス
    • 年月日
      2014-10-02 – 2014-10-03

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi