研究課題
本研究の目的は、細胞接着現象を解明するための数理的基盤を構築することである。そのために、実験、モデリング、解析を包括的に行う。平成26年度の研究実績は以下の通りである。分担者・富樫は、2種類の細胞が特徴的なモザイク様のパターンに並ぶマウスの嗅上皮をモデルに、カドヘリン、ネクチンの2種類の細胞接着分子が協調的に細胞選別に働く分子メカニズムの検討を行った。また、細胞接着現象のモデリングに必要な情報である、細胞の拡散係数や細胞分裂の割合、環境収容力、細胞接着強度などについて定量的な値の計測・調査を行った。代表者・村川は、モデリングのための文献調査を行い、既存のモデルの問題点の抽出、精査、考察を行った。富樫による実験結果を観察し、文献調査を基にした考察と数多くの数値計算による知見を総合して、細胞接着現象を記述する数理モデルを提案した。富樫の実験によって得られた定量的な値を数理モデルに代入し、数値計算を行ったところ、提案したモデルは定量的にも現象を再現できるものであることが分かった。また、村川は、本研究課題における数値計算に必要な、非線形拡散問題に対する数値解法についての解析を進め、誤差評価に関する結果を得た。代表者・村川と分担者・若狭は共同で、提案した数理モデルの解析に着手した。解の一意存在性を示すために、移流、移流拡散、非局所項の取り扱いなどについての文献収集、ディスカッションを行い、基礎研究を進め、今後の解析に向けた手がかりを得た。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画通りに順調に研究が進んでいるため。
研究は当初の研究計画通りに順調に進んでおり、本年度も引き続き当初の計画通りに進めていく予定である。ただし、解析の遂行や応用へ向けたより深い議論が必要であるため、代表者、分担者間で初年度よりも密な研究打ち合わせを行う。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 13件)
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