| 研究課題/領域番号 |
26400207
|
|---|
| 研究機関 | 秋田県立大学 |
|---|
研究代表者 |
木村 寛 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (10315616)
|
|---|
| 研究分担者 |
岩本 誠一 九州大学, 経済学研究院, 名誉教授 (90037284)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
| キーワード | 意思決定最適化問題 / 不等式双対化 |
|---|
| 研究実績の概要 |
平成２７年度は意思決定最適化問題における多段配分過程および２次計画問題に対して、双対問題導出のための双対化手法の証明および、主過程や双対過程における最適点と最適値の関係について証明し、主に以下の２点の成果が得られた。(i) 多段決定過程における主問題において、双対問題導出の手法として昨年度の研究から得られた結果を拡張し、動的法およびフェンシェル法の双対化手法を証明した。この動的双対化の手法は意思決定問題における主双対の双対化として適用できるだけでなく、制約なし最適化問題を制約付き最適化問題として、またその逆も同値変換可能な特徴も持つ。すなわち、本研究で取り扱う多段決定過程の意思決定問題のみならず、一般化の最適化問題に応用できる手法である。フェンシェル法は昨年度の本研究の成果である意思決定最適化問題における主過程と双対過程における双対関係について、共役関数を導入した主関数と双対関数の間の主双対不等式の導出をもとに開発したものである。これらの結果は論文として出版することができた。(ii) 定数を与えた意思決定最適化問題を考え、特に目的関数が２次評価で与えられる主過程に対してその最適解を構成する最適点と最適値の関係について研究した。すなわち、最小化および最大化それぞれの主過程において最適値が最適点の第１次成分で定まることを証明した。また双対過程における最適点と最適値の関係についても同様に成り立つことを示し、さらにこれらは評価関数を一般化しても成り立つことを示した。これらの結果は論文として出版することができた。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
意思決定最適化問題における双対化法の開発の研究において、平成２７年度は動的法およびフェンシェル法を開発し証明することができた。また多段配分過程における主過程と双対過程の間に主双対不等式の関係を示し、双対定理などの定理を証明することができた。これら双対化の手法や双対関係の定理は、多段配分問題などにおける双対理論を構築する新たな提案手法であり、意思決定最適化問題の双対化の理論を構築する一部分を担うものと考えている。また特に目的関数が２次評価で与えられる最小化および最大化の主過程における問題の最適解を構成する最適点と最適値の関係の結果は、意思決定問題の双対過程の最適性を捉える結果として今後発展できる可能性をもつ。さらにこの結果は評価関数を一般化しても成り立つことから、意思決定最適化における最適値評価の一手法として発展の余地があると考えている。以上これらの得られた成果は本研究の目的から判断しておおむね順調に進展していると言える。
|
| 今後の研究の推進方策 |
これまでの研究はおおむね順調に進展しており、多段配分過程問題などにおける主過程と双対過程の間に動的法やフェンシェル法という新たな双対化の手法を証明し提案することができた。また主過程における最適点と最適値の関係も明らかにし、主過程と双対過程の間に主双対不等式を示すことができた。これらの双対化の結果を踏まえ平成２８年度は引き続き双対化の手法の開発を継続し、特に不等式法の開発に着手する。また本研究で開発する双対化手法から得られる双対問題を調査し双対過程を構成する問題群の研究にも着手する予定である。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
平成２７年度に物品費として購入した消耗品等の価格が当初予定の価格より値下がりしたため、その差額分が生じ繰越金が発生した。
|
| 次年度使用額の使用計画 |
次年度はこの繰越金と交付金を有効に活用し、本研究費で得られた成果を積極的に関連する学会や研究集会で発表するための旅費や、引き続き本研究に寄与する関連文献の調査費、購入費として当て、さらなる研究の発展を計画する。
|
