本研究はHIV感染に代表されるウイルス感染と人間の免疫防御の構造と機能を,特にダイナミクスの不安定現象に着目して研究することを目的としている.そのためにウイルスの感染プロセスと免疫機構の活性化プロセスを一般化した免疫数理モデルを構築する.さらに一般化された数理モデルに感染細胞がウイルス粒子を再生産するまでの時間遅れと免疫細胞が活性化されるまでの時間遅れを導入し,これらの時間遅れが数理モデルのダイナミクスに与える影響を考察する.特に数理モデルの大域的安定性に対する時間遅れの影響を考察し,時間遅れがもたらすモデルの不安定ダイナミクスの構造と機能を解明する.
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