研究課題/領域番号 |
26400213
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
上山 大信 明治大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20304389)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 反応拡散系 / メッシュ生成 / パターン形成 / 偏微分方程式 / 数値解析 / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
本年度は、第一にGray-Scottモデルに現れるスポットパターンの3次元空間におけるダイナミクスに関してシミュレーションをベースとした研究を行う為のシミュレーション設備の構築を行った。当初の予定では、GPGPUベースのシミュレーション環境の構築を目指していたが、予算の関係からマルチコアCPUを搭載したワークステーションによってその代替とすることにした。結果として、利用できるアルゴリズムは、OpenMPをベースとした並列アルゴリズムとなり、当初の予定から若干の方向性の転換が必要となっている。本年度は、本研究で必要となるパラメータサーチを行う事を最優先とし、系統的なシミュレーションを行う準備を中心に行った。本研究で必要とされる数値計算スキームは、偏微分方程式を精度良く計算するものではなく、計算コストを抑えつつ偏微分方程式の解が持つ自己組織的パターン形成機構を保存する数値計算スキームである。このような観点から数値計算スキームを考察することは、現在において通常なされないため、新たなアイデアと試行錯誤が必要である。最終的には、上記計算スキームを中心に据えたメッシュ生成システムを構築する目的から、パラメータサーチにおいても計算量の少ない計算スキームを用いる必要がある。本年度は、そのような観点から、空間メッシュが極端に粗いシミュレーションにおいて、自己複製メカニズムが消失しないスキームの開発を検討した。しかしながら、一つのスポットと、その性質を維持するには最低7x7x7程度のメッシュが必要であり、さらなる検討が必要である。同様に、近年発達の目覚ましい並列計算に適応した計算アルゴリズムの開発を行っている。先述したように、当初はGPGPUを前提としたアルゴリズムを検討していたが、OpenMPを用いたものへの変更を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたGPGPU技術を用いた開発からOpenMPを用いた計画に変更が必要となったため、アルゴリズムの見直しが生じた。しかしながら、どちらも並列計算をベースとした技術であり、相似点も多いことから、パラメータサーチに取りかかるタイミングが遅れていいるが、全体としておおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在の所、アルゴリズムの見直しによって、少しばかり進展が遅れている点と、計算機のパワーが当初予定していたものよりも低い事から、効率的なパラメータサーチ、より効率的なアルゴリズムの開発が必要となると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画で購入すべきGPGPUシミュレーション設備を購入するには予算が足りなかったため、異なるアーキテクチャのシミュレーション設備を購入した。その際、次年度以降に、さらにシミュレーション環境を増強する事を念頭にマルチコアCPUをベースとしたワークステーションとして、比較的安価なものを購入した為。
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次年度使用額の使用計画 |
本計画にある、メッシュ生成に加えて、出来上がったメッシュを用いた検証シミュレーションを行う為のシミュレーションを行う必要から、本年度購入したシミュレーション環境の増強を計画している。また、海外での講演等を積極的に行い、実際的なニーズを検証する。
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