研究課題/領域番号 |
26400218
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
滝沢 元和 山形大学, 理学部, 准教授 (70323160)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 銀河団 / X線天文学 / 電波天文学 / 衝撃波 / 粒子加速 / SZ効果 |
研究実績の概要 |
すざく key project で得られた電波レリック銀河団の解析を行っている。RXC J1053.7+5452 銀河団について主に西側電波レリック周辺を中心にすざく衛星およびとチャンドラ衛星の観測データの解析を行った。その結果、本天体で中心部も含めて初めて高温ガスの温度を測定した。その結果電波レリック周辺では衝撃波があるとしても比較的低マッハ数(1.5程度)であることを示した。また、新たにX線表面輝度分布に特徴的な構造を発見し、周囲の温度、密度構造から接触不連続面である可能性が高いことを示した。この結果は学会発表等をへて、現在論文として投稿準備中である。またAbell2255銀河団についてもすざく衛星とXMM衛星のデータ解析をおこない、電波レリックの位置に衝撃波に対応する構造を発見した。この結果は Akamatsu et al.(2017)としてA&A誌より出版された。 ALMAによるRX J1347.5-1145銀河団のSunyaev-Zel'dovich(SZ)効果の観測データの解析を行った。5秒角というこれまでにない高空間分解能のSZ効果マップが得られた。チャンドラ衛星によるX線データと比較したところ、両者で得られる高温ガスの圧力分布は矛盾のないことを確認した。今回の結果はALMAによるSZ効果の高空間分解能観測としては初めてのもので、X線と相補的に有用な情報を得られることを示したものである。この結果はKitayama et al.(2016)としてPASJ誌に出版された。 2016年10月27-29日に山形蔵王のルーセントタカミヤにて日本SKA合同サイエンス会議「宇宙磁場:銀河系内現象から大規模構造へ」を世話人兼LOCとして開催した。本研究会の主要な財源は国立天文台からの研究集会助成であるが、本科研費からも運営院生の旅費やアルバイト代などに出費している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重力レンズ、低周波電波観測、SZ効果観測についてはアクセスできる観測データが順調に増えている。一方、X線観測データについてはすざく衛星がミッションを終えた一方で、ひとみ衛星が共同観測利用をはじめる前に寿命を終えてしまったことからしばらくは日本が主導権を持つミッションで新しいデータを取得することはできなくなってしまった。ただ、幸いにしてこれまでに我々が観測提案して得たデータおよび興味深いアーカイブデータが豊富にあり、本科研費期間(平成29年度まで)に関していえば全く問題ないと思われる。 X線および重力レンズについては、指導する大学院生や共同研究者に恵まれたこともあってデータ解析および論文出版が順調にすすんでいる。この調子を継続して最終年度も成果をあげていきたい。SZ効果については観測提案の段階から困難をきわめてきたが、なんとか最初の論文を出版するところまでたどり着けた。今回のデータはまだ多波長のジョイント解析で新たな結果を得られる可能性があり、すでにデータ取得済みの次の天体(Phoenix Cluster)もあり大きな発展が今後望める。 低周波電波については観測データの解析では28年度は大きな成果はなかったが、そのときの共同研究メンバーを核にして宇宙磁場に関するレビュー論文をPASJ誌にむけて執筆中であり、来年度にはすくなくとも掲載決定にまではたどり着けるものと思われる。また、執筆作業を通じて共同研究者間で現状の問題点や将来の課題について議論する機会を得、大変有意義であった。
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今後の研究の推進方策 |
アクセス可能な興味深い観測データが蓄積されていること、また申請者の指導する大学院生で観測的研究を指向する人が比較的多いことから、引き続き多波長観測データ解析の側面を重視していく方針である。特にすざくkeyプロジェクトの電波レリックについては個別天体のデータ解析は一段落がつきそうなので、全体のまとめをおこなって粒子加速過程について何らかの考察をだしたい。 宇宙磁場のレビュー論文を年度内の出版をめざすとともに、そこで明らかになった問題点や課題をもとに新たな共同研究を開始したいと考えている。具体的には現実的な磁場構造モデルを用いたファラデーローテーションマップの理論モデル構築と低周波電波観測との比較、また同様な理論モデルを用いてファラデートモグラフィーへの観測可能性の評価などを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
家庭の事情により2017年3月の日本天文学会春期年会の出張を取りやめたことが主な原因となって38430円の残額が発生した。ただし、この額は当該年度の直接経費80万円にたいしてはおよそ4.8%にすぎないのでさほど大きな問題ではないと思われる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の当初予定直接経費70万円に対して、今回生じた次年度使用額はおよそ5.9%ということで大きな研究計画の変更は必要ないと考えられるが、プリンター消耗品購入に充てる予定である。
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備考 |
日本SKA合同サイエンス会議「宇宙磁場:銀河系内現象から大規模構造へ」(2016年10月27-29日、ルーセントタカミヤ、山形蔵王) 世話人兼LOC
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