研究課題
重力崩壊型超新星および漸近巨星分枝星による星間ダスト供給量の相対寄与を調べるため、簡単なダスト進化モデルに基づいて星間ダスト量の時間進化計算を行った。その結果、各天体からの放出ガス中でのダスト凝縮効率が等しい場合、これら天体による星間ダストの供給量は銀河系においてほぼ同じであることがわかった。また、超新星爆発を起こす星の質量の上限値を100太陽質量から18太陽質量に変化させたとき、超新星からの全体的なダスト供給量は40%程度減少されることを明らかにした。銀河系内で観測された超金属欠乏星の鉄と炭素の存在量分布から、超金属欠乏星の形成状況について再考した。その結果、まずこれら小質量星の形成には、ダストによる冷却を通じてその母天体である分子雲ガスが小片に分裂される必要があることを示した。また、観測された鉄と炭素存在量の下限値からダストの組成とサイズに制限を与えることに成功し、炭素過多の超金属欠乏星の形成には10ミクロン程度の炭素質ダストが、炭素過多ではない超金属欠乏星では0.1ミクロン程度のケイ酸塩ダストによる冷却が星形成ガス雲の分裂を支配していたことをを突き止めた。さらに、宇宙初期で期待される56Niの放出量が少ない超新星では、10ミクロン程度の大きい炭素質ダストが形成されることも明らかにした。隕石中で発見される超新星起源のプレソーラーSiC粒子の生成過程を明らかにする第一段階として、SiC分子形成の非平衡計算を行った。その結果、炭素過多な環境においてSiC分子が質量にして1%程度形成されることがわかった。また、SiC分子からSiC固体微粒子が形成するという経路に則してダスト凝縮計算を実行し、理論的に初めてSiC粒子を形成させることに成功した。今後ダスト凝縮計算にダスト同士の合体成長も取り入れ、形成されるSiC粒子のサイズを系統的に調べる予定である。
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