研究課題
本研究は、原始惑星系円盤などの降着円盤において、円盤を貫く星間磁場がどのような形状になっているか、また星間磁場を種とする乱流の強さ、および円盤の降着率はどの程度になるかを理論的に解き明かすことを目的としている。これまでの研究で、円盤の降着速度が与えられた場合の磁場形状の定常解の解析的な導出および、磁場のみの時間進化を求めることに成功している。平成27年度は、円盤の密度と磁場構造の同時進化の研究を行った。これまでに開発したデッドゾーンがある場合でのガスと磁束の移流速度のモデル化を使った。このモデルでは、移流速度は、磁場強度および電離度を通して面密度の関数となる。われわれは円盤内側のデッドゾーンとその外側の磁気乱流が活発な場所との境界に着目し、そこでの微小な摂動に対する線形安定性を調べ、そこが粘性不安定を持つことがわかった。さらに、密度と磁場の時間進化を数値的に解いて、非線形発展を調べたところ、デッドゾーン境界に密度が濃い部分と薄い部分が縞状に現れ、その後100万年程度で消失することがわかった。この縞の幅は、現在の計算では数値的なグリッドサイズで決まっているが、現実の円盤では他の流体不安定や熱拡散で決まると考えられる。デッドゾーン境界での詳細な密度構造を求めるにはさらなる数値シミュレーションが必要であるが、本研究成果は、年齢100万年程度の円盤に特徴的な縞状構造が現れることを予言しており、近い将来の高分解能観測によって検証できると考えられる。また、円盤中心部には密度の低い領域が現れることも数値計算によって示され、観測されているいくつかの遷移円盤を形成するメカニズムの一つになると考えられる。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 10件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
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