研究課題/領域番号 |
26400225
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西 亮一 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80252419)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 位置天文衛星 / 星形成 / オリオン巨大分子雲 |
研究実績の概要 |
位置天文衛星Nano-JASMINEおよび小型JASMINE、そしてESAのGaiaを用いた科学研究を行うための準備を行った。2015年9月にはバルセロナ大学でのGaiaCU9全体会議に出席し、Gaiaの観測状況とデータ公開に関する議論に参加した。また、2016年1月には国立天文台においてNano-JASMINE&小型JASMINE合同サイエンスワークショップを中心になって開催し、全国の研究者への情報提供および研究とりまとめと方針の議論を行った。 Nano-JASMINEのデータを用いた具体的な研究対象としては、北極星についての研究を進めており、その一部はNano-JASMINEサイエンスワーキンググループの他の研究状況報告と合わせて国立天文台ニュース6月号にも報告している。北極星は最も近傍の古典的セファイドとして大変重要であるが、変光周期の変化率が大変大きく星の進化理論やセファイドの物理から見て大きな謎が存在する。Nano-JASMINEの観測データを用いてその質量などの基本的な物理量に対する制限の精度が向上するのは恒星物理の観点から価値が大きい。 Gaiaのデータを用いた研究対象としてはオリオン領域の星形成と形成された星の運動についての研究準備を進めている。その一つとして,野辺山宇宙電波観測所のレガシー観測(星形成分野)のメンバーとして、オリオンA巨大分子雲のCOによるマッピング観測に寄与しており、星形成の母体雲の構造解析と形成された星の運動についての関係を研究することにより、大質量星形成領域であるオリオンA巨大分子雲での星形成過程についての研究を進めつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ブラジルの発射場の準備が進展しないためNano-JASMINE衛星の打ち上げが大きく遅れていること、およびGaia衛星のデータ公開も半年以上遅れていることから全体として遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Gaia衛星の第一段のデータ公開が2016年の夏の終わりごろに決まった。最初の段階ではGaia独自の位置天文情報はないが、HIPPARCOSのデータと結合することで固有運動についてはかなり良いデータが得られる。特にオリオン領域での固有運動観測データを用いた星形成過程と結びつけたデータ解析を行う。そのためにもオリオンA巨大分子雲の観測と構造解析も進めていく。また、2017年にはGaia独自の高精度な位置天文情報が公開される予定である。それに向けた準備研究も進めていく。 なお、Nano-JASMINE衛星はブラジルの発射場をあきらめESAに頼んで2017年末ごろに打ち上げてもらう方向で準備が進行中である。当初予定から大きく遅れているのは残念だが、Gaia衛星のデータを用いた研究を勧めつつ、Nano-JASMINE衛星のデータの有効利用についても研究も進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
Nano-JASMIE打ち上げおよびGaiaのデータ公開が遅れたことによる全体的な研究の遅れが原因である。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年夏にGaiaの最初のデータ公開が行われる。それによって研究が大きく進展する予定である。また、フランスでの関連したIAUの会議とスペインでのGaia関係の会議に出席する予定であることから、本年度に繰り越した研究費を使用する計画である。
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