研究課題
星形成の現場である分子雲には、重力と同程度のエネルギーを持つ強い磁場の存在が示唆されている。また超音速の乱流の存在も示唆されている。本研究では、磁場と乱流を考慮して分子雲コアにおける原始星形成の数値シミュレーションを遂行した。数値シミュレーションではオーム散逸を考慮して、ガスが高密度になると磁場が散逸する効果を取り入れた。星なし分子雲コアから出発して、原始星が形成してから約1000年間の進化を計算した。数値シミュレーションの結果、原始星の周囲に星周円盤が形成し、アウトフローが放出された。星周円盤の角運動量の起源は、初期に分子雲コアが持つ乱流である。磁場が強いほど星周円盤の大きさは小さく、アウトフローは強力である。形成した星周円盤はおおよそケプラー回転を呈しており、円盤面は回転軸に垂直に整列する。一方、磁場と回転軸は一般的には揃わない。また結果としてアウトフローは円盤に揃わないことが多くのモデルに認められた。このような不整列は乱流の効果である。同様に、磁場・回転軸・星周円盤の向き・降着エンベロープの向き・アウトフローの向きを、様々な空間スケールごとに解析し、これらの多くが乱流によって不整列になることを示した。このシミュレーションで再現されたような不整列は天体は最近の ALMA 望遠鏡による高分解能観測によって報告されはじめている。この研究成果はこのような不整列な天体の新しい形成メカニズムを提案する。以上の成果を日本天文学会の年会において発表し、また学術論文において報告した。連星の周囲の円盤である周連星円盤の数値シミュレーションも昨年度から引き続き継続して計算した。回転円盤の数値シミュレーションでは回転座標系を用いてることが多いが、通常の慣性系の計算もあわせて行って計算結果を比較した。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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