研究課題/領域番号 |
26400234
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
中道 晶香 京都産業大学, 神山天文台, 研究員 (30356125)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 磁極反転 / 地磁気 / 太陽磁場 / パワースペクトル / 偏光分光観測装置 / 円偏光 |
研究実績の概要 |
1.磁極反転理論モデルの拡張 申請者が研究してきた磁極反転を記述する1次元結合スピン理論モデルを拡張し、方位角を導入して2次元化を行った。地球と太陽へ理論モデルを適用したシミュレーションの結果、地磁気の磁北が歳差運動を行いながらふらつく様子や、太陽の逆磁束斑が太陽面上に広く分布している様子も新たに再現できるようになった。このモデルは、マクロ・スピンの数が9の場合に、地球の不規則な磁極反転の観測データ(磁極が反転するのに要する平均時間、クロンの継続時間、スーパー・クロンの出現、磁化のパワースペクトルのべき指数、クロンでのパワースペクトルのべき指数)と非常に良く合い、マクロ・スピン数を300へ増やした場合に、太陽の規則的な磁極反転の観測データ(11年周期、マウンダー極小期のような長周期、パワースペクトルの1/fゆらぎ)を非常に良く再現した。これらの結果の一部を本学の大学院生 国友 有与志氏が日本物理学会 第70回年次大会にて発表し、現在、投稿論文にまとめている。
2.観測装置の改修 大学院生の新崎 貴之氏と研究協力者の池田 優二氏が中心となり、直線偏光を測定可能な高精度高分散偏光分光観測装置VESPolAにアクリル製1/4波長板を入れ、波長板方位角回転を制御する駆動系のインストール及び制御系の開発を行い、円偏光モードも観測できるようする改修と、新たなスリットを搭載して現行のR=8,000からR=20,000の高分散でも観測できるようにする改修作業を行った。なお、金属スリットは疑似偏光が発生するため、電気を通さず、かつ高精度の加工が可能なSiC製のセラミック製のスリットを用いた。これらの部品のVESPolAへの組み込みは2015年2月に終了した。波長板とスリットの実装については本学の大学院生 新崎 貴之氏が国際会議にて講演し、集録にまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.理論面については、理論モデルの次元を上げる拡張を行い、シミュレーションの結果を学会発表して投稿論文を執筆するところまで仕上げることができた。 ただし、今年度の最終目標としていた相転移との関連は、現在まだシミュレーションを実施中であり、次年度も継続する。 2.観測装置の改修については、設計と部品の調達から組み込み作業までを予定通り終了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.理論面では、我々の磁極反転理論モデルの数値計算の結果を用いて相転移の相図を描き、磁極反転現象を相転移の理論モデルとして考察する。また、現実の様々なスペクトル型の恒星内部の対流渦の分布と、我々のマクロ・スピンモデルのパラメータとの関係をつける。これら2つの研究を同時進行させる予定である。 2.観測面では、観測装置を本学のホーム望遠鏡である口径1.3m荒木望遠鏡に搭載し、装置の調整および試験観測を夏までに実施し、夏以降はターゲット天体の偏光分光モニター観測を開始する。
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