研究実績の概要 |
(1)磁極反転理論モデルの精査 3次元マクロ・スピンモデルの論文再投稿にあたり、何が反転し易さを決めているかについて修正した。元の論文では、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーとの大小関係に着目していたが、両者の比よりも、和、つまり全エネルギーの値が反転し易さを決めていることに気づいた。この部分のシミュレーションをやり直して精査し、新たな内容を加筆して論文を改訂した。また、レフェリー・コメントを検討するため、一部の内容について再計算も行った。 (2)ターゲット天体の偏光分光長期間モニター観測 R=25,000の高分散モードでの円偏光観測と効率的なデータ解析の手法を確立した。今年度もVESPolAを使って偏光分光モニター観測を継続した。4天体について計40夜の観測を準備していたが、晴天率が低かったため、4天体について計10夜程度の観測を実施できた。同じターゲットを年2,3回ずつ観測したが、磁極反転の兆候は検出できなかった。モニター観測は、今後も継続する予定である。 磁極反転を検出できなかった要因の1つとして、当初の想定よりシーイングが悪かったことが挙げられる。実施連星については、主星と伴星を分解できない日もあった。そこで現在は、望遠鏡の主鏡にファンを取り付けて主鏡の温度を下げ、シーイングの向上を試行中である。さらに観測効率を上げるため、VESPolA観測のオートガイド化に向けた開発に着手した。この開発は、近い将来に補償光学への発展を見据えている。
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