研究課題
素粒子・宇宙物理分野では、プリンストン高等研究所のポスドクAnson Hookと共同で、新たな模型を発見した。LHCでの制限と、宇宙論におけるグラビティーへの制限が矛盾することがわかり、これを解決するため、超対称性の破れがU(1)ゲージ対称性のD-termと呼ばれる項を通じて超対称性粒子の質量を生む機構である。これによりスピン0の超対称性粒子は数十TeVと重くなり、ヒッグス粒子が予想よりも重かったことを自然に説明する。一方スピン1/2の超対称性粒子はTeV程度であり、今年からのLHC Run2で発見される可能性を残す。同時にグラビティーノは非常に軽く宇宙論の制限を満たすことが同時にできる。粒子の質量の間の関係が既存の模型と異なるので、発見されれば模型を区別できる。これを「ベクトル・メディエーション」と呼んだ。また、ヒッグス粒子の精密測定を理論と比較できるようにするための枠組みを有効理論を使って具体的に提案した。一方原子核、物性、原子、天体物理学の関係では、非相対論的な非可換ゲージ理論が自発的に破れた際のヒッグス機構を一般的に考察した。ゴールドストーン粒子がType-Bである場合は、破れた対称性の数よりもゴルードストーン粒子が少ないため、ヒッグス機構に矛盾があることがわかるが、ゲージ場自身が凝縮することにより、足りないゴールドストーン粒子をゲージ場自身が生み出し、無矛盾な基底状態がることを発見した。この時ゲージ場の凝縮から、回転対称性が必然的に破れ、これに対応する新たなゴールドストーン粒子が出ることも興味深い。
2: おおむね順調に進展している
既に素粒子・宇宙物理学の面では応用について既に論文を発表して予定を先行しているが、原子核、物性、原子、天体物理学の分野では、時空の対称性を含む場合についての考察が若干遅れている。
申請時の予定通り、応用例に取り組み始める。
国内研究会発表を計画したものの、予定外の事情が生じ出張がキャンセルとなり繰越が生じた。
引続き今年度に国内学会発表を予定する。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 謝辞記載あり 10件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 12件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Physical Review Letters
巻: - ページ: -
Physical Review D
Communications for Mathematics and Physics
Phys.Rev.
巻: D91 ページ: 11
10.1103/PhysRevD.91.045036
Chin.Phys.
巻: C38 ページ: 1676
10.1088/1674-1137/38/9/090001
Nucl.Instrum.Meth.
巻: A769 ページ: 8
10.1016/j.nima.2014.09.068
巻: D90 ページ: 6
10.1103/PhysRevD.90.121703
JHEP
巻: 1408 ページ: 23
10.1007/JHEP08(2014)101
Phys.Lett.
巻: B738 ページ: 4
10.1016/j.physletb.2014.09.045
http://www.ipmu.jp/ja/hitoshi-murayama
http://physics.berkeley.edu/people/faculty/hitoshi-murayama