研究課題
去年の報告書の「今後の研究の推進方策」で提案した通り、H28年度は暗黒物質が擬南部・ゴールドストン粒子である「強く相互作用する重い粒子」(SIMP)の可能性を中心に、自発的な対称性の破れが宇宙論に与える影響を系統的に調べた。特に標準模型との相互作用が、光子とkinetic mixingを持つdark photonである場合について、競合するグループの論文の様々な間違いを指摘し、現在の制限を満たすパラメータを定めた。そして将来的な検証としては、現在建設中のSuperKEK-Bでは、monophoton信号でmissing massを測定することにより、原理的に強い相互作用による共鳴状態を観測してspectroscopyが可能であることを指摘した。さらにすばる望遠鏡に現在製作中の多天体分光器PFSを取り付けて矮小銀河の質量分布を精密測定し、暗黒物質の自己相互作用を測ることが決定的な検証となるが、その第一歩としてHSCによる撮像観測から、今まで最も暗い矮小銀河を発見した。将来の分光観測の候補となる。現在さらにアキシオンによる相互作用の場合、またSIMPがスピン1のゲージ粒子である場合にも考察を進めている。加えて、こうした軽い暗黒物質の、質量パワースペクトルへの影響も調べて、出版済みである。一方有効場理論についても、提案通り有効演算子の系統的な分類の方法を考察し、一般論を構築し、現在100ページに迫る論文を執筆中である。線形表現の場合は共形場理論、非線形表現の場合にはホッジ理論が使えることがわかった。また有効場の理論を構築する際、軽い粒子と重い粒子が両方飛ぶループのグラフからくるマッチングが必要な場合についても、昨年度提案した共変微分展開の方法が使えることを示し、関連論文の誤りを指摘し、現在投稿中である。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 7件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 14件、 招待講演 14件) 備考 (2件)
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